はてなブログ、はじめまして。やままです。
いきがって飴風呂に浸かっていたのですが、使いこなせず、引っ越しを決意しました。
今後ともよろしくお願いいたします。
主に食べものエッセイをしたためていきます。
■中東料理好きなら「ザクロ」でしょ
六本木のアラブ・イラン料理店「アラジン」のランチバイキングを体験して以来、中東料理にお熱である。
おなかいっぱい中東料理を食べられるお店として非常に有名な、日暮里の「ザクロレストラン」は外せないスポットだ。
1000円払えばとにかく目一杯、腹一杯の料理が楽しめるそうで、次から次へとテーブルに中東料理が置かれていくのだという。
感想ブログの数々を拝見すると、「とてもおいしいのに残してしまいました」なる写真がアップされていたりして、大変期待できる。
テレビでも多々紹介されているようで、ご存じの方もいらっしゃるのではなかろうか。
店は日暮里近くの「谷中銀座」にある。
私の生活圏からは離れており、そちら方面に立ち寄る用事が全然ないので訪問の機会に恵まれない。
もうこれは、意を決して、ザクロレストランのためだけに日暮里に参る必要がある。
■ザクロレストランとは
この店が有名たる所以は2つ。
ひとつは恐るべき「エンドレス盛り盛りシステム」。
ランチ、ディナーともにコース料理がメインで、アラカルトメニューですら「セット」と記載されている。
おかず単品を注文するという文化ではない。
ランチは3種のコースがあり、ほとんどの客が「幸せランチ」という1000円のコースを注文する。
内容は「イラン・トルコ・ウズベキスタンの料理」程度しか公表されておらず、何が出てくるかは当日のお楽しみだ。
ひとつひとつの料理の量が多く、いずれもおかわり自由。
むしろ、こちらは要求していないにもかかわらず「もっとお食べ」と皿に盛られていくらしい。
「いまこんなの作ったから、食べなよ!」と、問答無用状態で突如として新作が盛られることもしばしば、だそうだ。
時間制限もないらしい。
ちなみにディナーのコースは2000円。飲み放題もつけて3000円。
ランチ同様、嫌というほど食べ物が盛られていくそうだ。
公式サイトで料理紹介のページを拝読すると、上記のコースは
「お客様の99%が注文する大人気のメニューです。通常オーダーすると7000円分くらいのメニューが2000円でお試しいただけます」
と紹介されている。
99.9%と言われると疑わしいが、99%とのことなので真実であると思いたい。
そしてお得さアピールがニクい。
実に、日本人を喜ばせる煽り文句だ。これは試したくなる。
そしてこの店を有名にしたもうひとつのポイントといえば、名物店長「アリさん」である。
数々のレポートブログを読む限り、荒くれ者に他ならない。
客に暴言を吐きまくり、ディナー時のベリーダンスショーやら即興演奏ショーに客を巻き込み、極めつけの必殺台詞は「空気読め」。
実に、日本人を悲しませる煽り文句だ。これは会いたくなくなる。
しかし不思議なことに、彼は人気者なのだという。
彼見たさに来店する客があとを絶たず、その魅力に取りつかれてリピーターになるケース多数。
信じられん。
■不安いっぱいの訪問
うまい中東料理を嫌というほど食べたい。
ザクロレストランに行きたい。
しかし「アリさん」なる店長の存在は脅威だ。
暴言を笑って楽しめるほど、私はマゾヒストスピリットを養えていない。
さらに、即興ショーなどに巻き込まれたくない。
コールアンドレスポンスなんてなくなればいい・・・日々の悩みのひとつである。
「こーんにーちはー!」
「こんにちはー」
「あれえ、みんな元気が足りないゾー!もう一度、こーんにーちはー!」
・・・のくだりなど、地獄そのものである。
ライブ中に手拍子打ったり、演者さんからの質問に対し挙手で答えたりするのも照れくさい。
「都内から劇場にお越しくださった方!」
「(はいっ)」
気持ちの上では愛する演者さんたちへの応答を行っているのだが、表面化できない。
とにかくこの、ECCが提唱し始めたと思しきジョイナス(join us)系興業は不得手である。
西田ひかるの笑顔で誤魔化せると思ったら大間違いだ。
しかし、ザクロファンたちは「アリさんも含めてこの店の魅力。嫌なら行くな」と言っている。
そりゃそうだ。我に訪問の資格なし。
されどされど、なんとかしてアリさんアタックを回避しつつ店を訪問してみたいのである。
そこに、「アリさんに会いたかったのに昼はいなかった」なる情報を入手。
よし、昼だ。昼に行こう。
さらに大衆に紛れれば、万が一に備えられる。
敢えて、混んでいる土日に行こう。
■いよいよ訪問
谷中銀座は、千代田線千駄木駅からJR日暮里駅を結ぶ銀座である。
ザクロレストランはほぼ日暮里寄り、端っこに位置する。
せっかくなので、千駄木⇒谷中銀座⇒ザクロ⇒日暮里 のルートで楽しんでみたい。
千駄木駅から少し細い道に入ると、すぐに谷中銀座が見えてくる。
土曜日とあって賑わいがすごい。
歩を進めると、肉屋が店先でメンチカツを売っていたり、甘味処で栗ソフトが売られていたり、招き猫の形の鯛焼き、すなわち「猫焼き」が売られていたり、とにかく食べ物天国である。
メンチカツ・コロッケ類を売りとする店は、そう長い距離ではない谷中銀座に3~4軒あった。激戦区だ。
出口間際にあるイカ焼きの魅力に心奪われつつも、なんとかザクロレストラン前に到着。
噂には聞いていたし、嫌というほどレポート写真も見ていたけれど、本物は予想以上に異様だ。
店先の中東ドリンクや雑貨類の販売で穏やかそうに振る舞っているが、どうがんばっても、あの「アリさん」と思われる似顔絵が視界に飛び込んでくる。
本人にお目にかかる前から既にウザい。
そして無駄に美しい明朝体の横断幕。
余白を如何なく活用したデザインである。
そっと中を除くと、さすが昼時とあって大混雑であった。
いける・・・。
この状態なら、私、大衆に紛れられる。
店先に立つ、エキゾチックな装いのお姉さん(日本人)に声をかけ、1名である旨を伝えて入店した。
かなり混雑していたが、さすが無敵の「おひとりさま」。すんなりと中に通される。
さて、この店、まずは靴を脱がなければならないのでクサ足の人は要注意だ。
私もいい匂いの足は生憎持ち合わせていないが、赤信号もみんなで渡れば怖くないと言うくらいだし、クサ足も大目に見てほしい。
中に入ると座布団に座らされ、地べたに置かれた板がテーブルとして機能する。
みんなあぐらをかいたり、正座をしたりしてワイワイと楽しそう。
今日は食って食って食いまくる・・・地べたに根を張る覚悟で、激ユルズボンを履いてきた我に死角はない。
壁際の座布団に案内され、座ると同時に「幸せランチ」と告げた。
幸せになりたい。
私の直後、俳優の志賀廣太郎に似たおっさんが入ってきた。
友人の都合がつかなかったのか、この日ばかりは「1匹のおっさん」である。
幸か不幸か私の隣の席が空いており、2人で壁際に並ぶこととなった。
おっさんはキョロキョロしながら「幸せランチ」と店員に告げており、2人揃ってあからさまに一見さんである。
なんだろうか、この、そこはかとない仲間意識。
つい話しかけたくなるが、がまん。今日は食に集中だ。
おっさん、心はひとつだよ・・・共に闘おう。
実際の料理内容は明日の後半戦でよろしくお願い申し上げます。