こんにちは、やままです。昼休みにUPしてみます。
グランドハイアット東京内の「フレンチ キッチン」でひとりで食べ放題を楽しんだ思い出をしたためています。連載4回目です。
■ポストパンケーキと呼ばれるアイツについて
オムレツとフレンチトーストを堪能し、おかず系に移行する。
スナップエンドウ、芽キャベツ、ブロッコリー・・・春の野菜がたっぷりで嬉しい。
真ん中は白身魚か何かのエスカベッシュ。
エスカベッシュの意味が分からずに食べたが、見た目で予測していた通り、酢漬けであった。
そうだよなあ、「酢漬け」と書かれた札が下げられていたら、フランス料理感ないもんなあ。
・・・と思って調べてみれば、エスカベッシュはスペイン料理だというではないか。
シェフの気まぐれだろうか。
そして、火が通っているおかずコーナーから持ってきた品々。
ポークソテー、白いんげんの煮物などと一緒に、巷で話題のエッグベネディクトも持ってきた。
エッグベネディクト。
名前からしてハイカラであり、食べてみたくとも、提供するカッフェーはどこもかしこもオシャレで緊張してしまい、どうも居心地が悪い。
あと高い。飲み物なしで1,000円超えが当たり前というあのエッグベネディクトの表情が気に食わん。
貴様など食ってやるものか。なにがベネディクトだ。何世だ。
私の心の支えはいつだってエッグマックマフィンだ。
・・・という事情で、結局のところどういう食べ物なのか知らなかったため、食べられる機会に遭遇できてありがたい。
マフィンの上に、ハム、ホウレンソウ、半熟卵と黄色いソース。
この黄色いソースが「ザ・エッグベネディクト」なかんじである。
生まれて初めてベネディクトする瞬間。
マフィンがナイフで切れなかったので、ひとまず上に乗った具たちをいただいた。
不思議な一品だ。
フタとなるマフィンがあれば、フォークナイフがなくともかぶりつけるのに。
それはさておき初ベネディクトの感想はというと、「酸っぱい」であった。
この黄色いソース、卵をふんだんに使ったまろやかな味なのだと思っていたら、「オランデーズソース」という代物らしい。
卵黄のソースであることは違いないが、レモン果汁がたくさん用いられているようで、それがこの独特な酸っぱさになっている。
いずれにせよおいしい。
半熟卵と混ざり合うととてもおいしい。
それにしても、卵の上に卵のソースとは、本当に卵が好きな人が考え出したメニューなのだろうなあ。
コレステロールだけが心配である。
ムッシャムッシャと第1巡目の品々を食らっていると、日曜の午後のよい時間になってきたようで、客が少しずつ増えてきた。
相変わらず「若い家族や夫婦とその親」という気遣いに満ち溢れたグループが多いなか、女子会グループもチラホラ。
なんとシェフが直々に出てきて記念撮影を行っている。
なんだよ可愛い子にはそんなサービスがあるのかよと思いつつも、シェフが来て「写真撮りましょう」なんて言われたら私はきっと照れて断る。
よくよく見ていれば、その集いは誕生会のようで、プレゼントを渡している様子が垣間見えた。
言っておくが私だって誕生日会としてこの場に来ている。お揃いだ。
その違いは「参加人数」以外何もない。
それにしても・・・友だちの誕生日におひとり様7,000円のランチ会とは、なんという貴族集団。
いいよなあ、金持ち。
ほしいよなあ、金。
邪念を振り払うが如く、一心不乱にエッグベネディクトを食していると、美しいカップルが目の前をすっと通り、私のすぐ近くの席についた。
歳は30代前半ごろだろうか。
男性はさわやか、それでいて稼いでいるオーラをまとっており、女性は華奢で姿勢がよく、利発そうなキリリとした顔つき。
カップルで来店しているのはそれなりに年齢を重ねた方ばかりだったため、目立つ。
ううん・・・彼女、あんなに痩せていて、食べ放題が楽しめるのだろうか。
気になって目で追っていると、彼らは談笑しながら席をいったん立ち、食べ物を取りに行った。
2人でべったりくっつきながら調理台でうろつくようなことはなく、めいめいに好きなものを取って戻ってきた。
白い皿に鮮やかな緑のレタスやベビーリーフ、そしてライブキッチンで取り分けられたローストビーフ。
・・・皿の上まで、美しいとは・・・。
目の前の、まだ手を付けていないデザート皿に視線を落とす。
ケーキの群れが、皿の余白を埋め尽くすかのように林立している。
しかも汚い。本来美しかったはずのケーキが台無しだ。
さきほど平らげたおかず皿はといえば、皿が白いことを忘れるほどに、ぎっしり・みっちりとした盛り方をしていたことが容易に思い出された。
人種の差を見せつける目盛りの存在を感じる。
その名も、「品格」・・・。
この店内において、私がぶっちぎりで最下位だ。
シェフ、申し訳ない。
こんなことでは、私のほうから一緒に記念撮影してほしいと頼んだとしても断られるに違いない。
自らの浅ましさ、卑しさ、品格レベルの低さを嘆いていると、目の前の例のカップルの席に「ガス入りミネラルウォーター」が運びこまれた。
あれか、かの有名なサンペレグレノとかいうやつか。ペリエとかいうやつか。
嬉々として「普通の水」を飲んでいる私って・・・。
いや、ここでブレては負けだ。気張っていこう。