2021年2月22日に放送されたTBSラジオ「アフター6ジャンクション」のゲストが小堺一機さんで、「ごきげんよう(「いただきます」時代含む)」放送当時のことを話されていました。
来る3月5日(金)から昼スナックを再開する私にとって、励みになる言葉がたくさん!
YouTubeやポッドキャスト、各種のライブ配信サービスなどで「会話力」に悩まれているかたにも、刺激的かつ役立つ内容だと思います。
次項からその要約をご紹介します。
小堺さんが「愛されMC」となり、毎日の生放送で名トークが生み出されていった秘訣は「小堺一機が小堺一機であったこと」にあるのだと感じました。
※小堺さんをはじめ、いろいろな方の「セリフ」を掲載していますが、文脈に合わせて助詞や言葉を私がアレンジしてしまっています。ご容赦ください。趣旨はそのままにしています。
- 「毛根が死んだ」暗黒期
- 自分だけ役作りをしているやつは、つまらない
- 思ったことを言い、感じたままに振る舞う
- 「信用できる人」は身近な存在
- 積極的に「怠け者」になる
- 会話はその場で生まれるもの
- がむしゃらにやり込む以外の「努力」の形
- 3月5日13時から昼スナック再開!ご予約待ってます
「毛根が死んだ」暗黒期
「ライオンのいただきます」として放送が始まったのが1984年10月。82年から「笑っていいとも!」が始まっていました。
すでに人気番組になっていた「いいとも!」からバトンを受けとる形での生放送(「いただきます」時代は両番組ともにスタジオアルタを使用)は、小堺さんにとって大変なプレッシャーだったようです。
毎晩ネタを考えて懸命に生放送に立ち向かうも評判は最悪。
放送開始から1ヶ月ほどで、番組名をもじって「消えて”いただきます”」だとか、「タモリの後に、力も華もない小堺が汗をかいてるだけで、見ていられない」といった言葉が飛び交うようになりました。
小堺さん曰く、「このとき、毛根が死にました。”ごきげんよう”って」。
自分だけ役作りをしているやつは、つまらない
そんな苦境に立たされた小堺さんは、かつて通っていた勝新太郎さんのお芝居の学校で語られていた話をいっぺんに思い出したといいます。
勝さんはこう話していたそうです。
「1番つまらないのは、自分だけ役作りをして、現場に来て『どうだ』って芝居してるやつだよ」
「セリフなんてのは、相手のセリフが来るから言わせてもらうんだ。自分から入っちゃうやつは1番たちが悪い」
悩む小堺さんに、 芸能界の先輩はこうも言葉をかけました。
萩本欽一さんは「自分が全部やっちゃうから、相手が喋れないんだよ」。
関根勤さんは「堺正章さんが『なんであいつひとりで喋ってんの』って言ってたよ」。
思ったことを言い、感じたままに振る舞う
「いただきます」は、ゲストの女優や歌手などを「おばさま」と称してトークを展開していく番組でした。
ある日、「おばさま」のひとりであった小森のおばちゃまが「こういう話は悪寒が走るわ」と口にした瞬間、小堺さんはこんな合いの手を入れたのです。
「もうすぐ(お棺に)入れますよ」。
会場はおおいに盛り上がりました。以降も小堺さんは、出演者をちょっといじるようなことを言ってはウケて、「ああ、こういうこと言っていいんだな」ということを学んだそうです。
さらにもうひとつ、「こんなことをしてもいいんだ」と思ったことがありました。それが「正直なリアクション」です。
放送に備えてしっかりとネタの準備をしていた小堺さんは、おばさまに生放送ならではの「予期せぬツッコミ」を入れられると困ってしまったといいます。でもそうした様子はおくびにも出さずに進行していました。
よかれと思ってやっていたのだと思いますが、涼しい顔で話を進める小堺さんを前にして、お客さんは反応に悩んでいたようです。
ところがこれをやめ、困ったことが起きたときに「困り顔」になってみたら、お客さんが盛り上がるようになったというではありませんか!
「信用できる人」は身近な存在
小堺さんがお話しされた上記2つの変化について、欽ちゃんはこんなことをおっしゃったそうです。
「お客がおまえを信用していなかったんだよ。
毎日、最高のギャグなんて俺だって言えない。お客さんが思っていることを言ってあげればいいんだ。
そうしたらお客がおまえを信用して、『好き』がついてくる。『嫌い』もついてくるけどね。
でも信用されないと、『好き』にも『嫌い』にもなってもらえない」
夜な夜なネタを考え、懸命に放送に挑んでいた小堺さんは、むしろその努力が空回りであったことを悟ったのです。
放送が始まる前、プロデューサーの横澤さんからはこんな言葉をかけられていたとおっしゃっていました。
「遊びに来るつもりで来てください」。
積極的に「怠け者」になる
以来、小堺さんは毎日の「いただきます」そして「ごきげんよう」に対し、「その日のその人と話そう」というスタンスで臨んでいたそうです。
ゲストの資料は事前に届くし、目も通すけれど、前情報と当日のその人の様子は異なるものです。元気な人だと聞いていたのに、当日のテンションが低いということもあったそう。
事前情報をもとにガチガチに構成を決めていたら、そこで焦ってしまいます。すると番組の流れもつまづいてしまう。
そうならないためにも、事前情報は本当に困ったときのネタの種くらいにとどめておき、ゲストとの対面時の印象から「ああ、今日のこの人はこういうテンションなんだな」というところから入るようにしたとおっしゃっていました。
小堺さんの言葉を借りれば
「怠け者になったんです。準備をしなくなった」。
会話はその場で生まれるもの
「怠け者」につながるエピソードでいうと、本番前、ゲストに挨拶に行かないようにしていたそうです。
そのぶん、放送直前の前室でゲストの雑談に耳を傾けていたといいます。
「気に入っていたゴルフのコースが変わってしまった」という話が耳に入ってくれば、そこで詳細を聞いてみたい気持ちをぐっと堪えて本番でその話を振る。
「私ってカレー苦手でしょ」という話が聞こえてくれば、本番でお客さんに向かって「カレーが嫌いな人なんていませんよねえ?」と前フリ。ゲストが「実は私、カレーが苦手で……」と口を開いてくれれば会場が盛り上がります。
がむしゃらにやり込む以外の「努力」の形
……といった話が、ラジオ内で展開されたのでした。
私がスナックのママの仕事を始めた当初、息巻いていたのにお客様ゼロを記録して絶望した日のこととか、だんだん力を抜いていったらお客様がいらしてくれるようになったこととか、いろいろ、思い出されました。
それにしても、欽ちゃんの話が沁みます……。
小堺さんは「等身大の小堺さん」だったから、お客さんや視聴者に信用してもらって、あれだけのご長寿番組のMCでありつづけたんだ!
小堺さんは「怠け者になった」という表現を使われていましたが、要は「努力のベクトルを変えた」ということですよね。
がむしゃらにがんばることだけが「努力」ではないのです。
本人がいくらがんばっているつもりでも、オーディエンスがその姿勢に対し、欽ちゃんの言葉でいうところの「信用」を寄せなければ意味がありません。
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3月5日13時から昼スナック再開!ご予約待ってます
3月5日(金)13時から昼スナックを再開するにあたり、とってもすてきな放送が聴けて本当によかったです。
「気持ちも新たにがんばります!」というつもりでいましたが、「いつもどおり楽しくやります」という心持ちに(いい意味で)トーンダウンしました。
とりわけ美人だとか、とりわけ頭がいいだとか、手がきれいとか酒の入れ方が美しいとかそういうことはありませんが(笑)、正直に一生懸命たのしく生きているママと、愉快なひとときを過ごしたい!というお客様のご来店を心からお待ちしています。
▼常時MAX4名様で営業しますので、ご予約お待ちしています!
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