むかし広告業界で働いていたのだが、深夜残業・寝てない自慢以上に興味深かったのは「カタカナの多用」であった。
打合せ中にナチュラルに(あっ、カタカナ語使ってもた)
「それはアグリーなんだけど」
と上司が呟いた瞬間、私はひどく動揺したものである。なぜ「それは賛成なんだけど」「それはわかるんだけど」と言わないんだろう…いっそのこと「アイ・アグリー・ウィズ・ユー」と突き抜けるのも手ではないか…?
渡辺喜美さんが「アジェンダ」と繰り返し発言されていたころ、その言葉が出るたびにニヤニヤしていた方もおられよう。しかしそのころにもなると私はあまり違和感を覚えないようになっていた。アジェンダおじさんは珍しい存在ではなかった。
ギンザシックスはエキサイティング
そんなことを思い出したきっかけは「GINZA SIX」である。
フリーペーパーとは思えぬ立派な冊子が配られていたので一部いただいてきた。ぺら、ぺら、と数枚めくったところに施設専用アプリの紹介広告が掲載されていたのだが、
エクスクルーシブな体験!!!!!
ちなみにギンザシックスのWEBサイトでアプリ情報を探してみると
ショッピング体験をよりエキサイティングなものにしてくれるツールが、
モバイルアプリ「GINZA SIXアプリ」。
※引用元:GINZA SIX | ギンザ シックス
とのこと。カタカナが好きなんだなあ。狙いがあってのことならいいけれど、スッと理解しづらいマダムも多いのではないか…。
さて、私は英語がほぼできないので、これを機に学ぼうと”exclusive”を調べてみました。
(特定の仲間だけで)他人を入れない、排他的な、閉鎖的な、高級な、上流の、特定の人とだけ交際する、人付き合いの悪い、お高くとまった、ほかで入手できない、高級品を扱う
※引用元:exclusiveの意味 - 英和辞典 Weblio辞書
か、感じ悪い…!
「アプリをダウンロードして、エクスクルーシブな体験を」。アプリをダウンロードするか否かは、皆さまのご判断に委ねます…アプリ企画者や開発者は泣いてないだろうか。
カタカナといえば映画の邦題
「Frozen」が「アナと雪の女王」になるように、邦題ならではのタイトルがつくことも多いなか、原題をそのままカタカナにしたパターンも多々。
私は映画情報に疎く、鑑賞する機会もあまりなく、名だたる超大作についても存じ上げないという恥ずかしい事態に陥ることがよくあるのだが、それでもこのタイトルだけはいまだに覚えている。
フォーガットン。
どうしてカタカナにしたんだ。私ですら"forgotten"を「フォーガットン」とは発音しない自信がある。リットン調査団じゃないんだぞ!
カタカナ、いろいろ。
否定的なご意見もあるかもしれないが、意味が伝わればいいと思う。広告業界では「アグリー」の方が、「賛成」「わかった」よりも伝わるなにかがあったのだろうし、ギンザシックスアプリも…「エクスクルーシブ」で伝えたい何かがあったんだろう。「フォーガットン」は見当がつかないが、公開から10年以上たった今も記憶にとどまっているので、意味を伝える以上の狙いが、あったの、か…?