妊娠39週3日目です。陣痛の予感ゼロ!
身体がしんどくて油断すればすぐ不機嫌になってしまいそうですが、「そんな苦しみが体験できるのも、幸せの一環」であることは忘れずにいないとね。
こうやって書いたり宣言したりしないと「辛い! もう嫌だ! 金くれ!」のダークサイドにいってしまいそうなので、がんばって自分を保つぞ(笑)!
こんなポンコツな自分、そしてこれから出会う子どもを育てていくにあたり、「生きるうえで大事にしたいこと」を考える機会がありました。
そのきっかけが……フジテレビの「ザ・ノンフィクション」です。
1月16日、23日と2週にわたって放送されたのが「結婚したい彼女の場合 ~コロナ禍の婚活漂流記~」。
ミナミさん(仮名)という飲食店勤務の30歳女性の婚活を追うものでした。
これを観て、改めて「自分軸で生きる」ことの大切さを感じたのです。
出産してからも、「自分は自分、子どもは子ども、別の人間」ということを念頭において、ひとりの対等な人間として接していきたいなと思いました。
この考えに至った経緯をお届けします。
- 2022年1月16日、23日放送「ザ・ノンフィクション」概要
- 婚活に苦戦する30歳女性!母から減点されないように生きてきたのでは
- あの母は「毒親」だろうか?→彼女なりに一生懸命生きてきたんだと思う
- 「ショック療法」で自分軸で生きられていないことに気づく
- ぐらついても、引き戻されても、「自分軸」を育て続ける
2022年1月16日、23日放送「ザ・ノンフィクション」概要
まずは! 放送された番組概要を箇条書きにしました。
(箇条書きにしきれないくらい、濃かったです……)
- ミナミさんは度重なる休業要請で孤独感に悩んでいた
- ちなみに両親健在、実家暮らし
- さらにちなみに、勤務している飲食店は正社員にもかかわらず勤続8年で昇給なし、手取り13万
- 「結婚して温かい家庭をつくりたい」と願うようになり、結婚相談所に入会
- 「両親が共働きで寂しかったので自分は専業主婦になりたい」という希望アリ
- 恋愛経験ほぼなし、異性とのコミュニケーションが苦手
- 所長の著書を懸命に読んだり、外見改革をしたり、婚活ノートをつくるなどとても真面目
- 番組中でお見合いに至った相手は3人
- 1)40代資産家(うろ覚え)
- 2)40代不動産経営者(仮名・長谷川さん)
- 3)30代介護士(仮名・町田さん)
- ミナミさんは同世代とのカップリングを希望しており、町田さんに首ったけ
- 結局全員と不成立(長谷川さんについては後述)
- 1)声が高くて話が頭に入ってこない、店員さんに高圧的=自分にもそう接してくるに違いないから
- 3)自宅に招かれたが座布団の布が擦り切れているなど、専業主婦にはなれない、カツカツの生活が見えたから
- 長谷川さんとは「ミナミ家に長谷川が挨拶に行く予定を立てる」までなんとかこぎつけた
- 調整に時間がかかったのは、ミナミ母による「あんた騙されてる」発言ゆえ
- 母いわく、「専業主婦でいいなんてウソ、使用人状態になる」などなど
- ミナミ自身も長谷川に対し「ヨーカドーの服とかありえない、資産家はケチってホントなんだわ」などとうっすら悪印象を持っている
- 挨拶前のデートでミナミの具合が悪くなり(パニック発作的な)長谷川が介抱
- 「僕もパニック発作を起こすことがあるからわかるよ」的発言
- ミナミの心「パニック発作持ち!?聞いてないんだけど!私やっぱり騙されてた!」
- その勢いで所長に怒りのメール「あなたは会員が成婚すりゃそれでいいんでしょうけど、私は100億積まれたってあの人と結婚なんてしませんからね!」
- その後所長と面談し「あなたにないのは”人間力”」と叱られる
- ミナミ、婚活休業(長谷川の挨拶予定も流れる……)
- ミナミさんは自分と向き合い、再び婚活の道を歩みはじめるのだった……(♪生~きて~く、生きて~いく~)
- ちなみに長谷川はすべてを許してくれたが、(おそらくミナミの意向で)結婚成立ならず
なにかと話題になりやすい同番組ですが、ここ数ヶ月でトップ、というレベルでTwitterが盛り上がっていた印象です。
視聴者の感想はGoogleやTwitterで「ザノンフィクション ミナミ」と検索すると嫌というほど出てくるので、ご興味あれば見てみてください。
基本的に、ミナミさんに対するネガティブな感想で溢れかえっています。
年齢のこと、専業主婦希望であること、自分は棚に上げているのに相手への要望が細かいこと、一部分を切り取って誇大認識してしまうこと、などなど……。
人をぶった切るにあたり、こんなにもたくさんの切り口があったのか! と驚かされるくらい、多種多様なコメントが見られます。
婚活に苦戦する30歳女性!母から減点されないように生きてきたのでは
私が気になったのは「母との関係」です。
番組中では3人の男性と接しているミナミさん。
お三方とも「ミナミさんからお断り」となり進展しなかったのは「実母」の影響が強すぎるからだと思います。
長谷川さんに対する「騙されている」発言で、私は確信を得ました……。
ミナミさんが男性たちに下してきた「声が高くてイヤ」「座布団が擦り切れているからダメ」「ヨーカドーの服とかありえない」といった評価は、実母から与えられた色眼鏡によるものとしか思えない!
生まれてこの方ずっと、ご両親とひとつ屋根の下で過ごしてきたミナミさん。
ご兄弟がいるという情報は入ってきませんでした。
一方で、ずっと私立校に通っていたことや、幼いころから楽器演奏などの習いごとに励んでいたことが紹介されています。
学校でどんな子だったか、交友関係はどうなのか、といったことは不明です。
ただ現在でも婚活本を読み込んだり「婚活ノート」を真面目につくっていたりする様子から、きっと勉強も運動もがんばっていて、よい評価の通知表をもらっていたんじゃないでしょうか。
そして、通知表は学校のみならず、自宅でも与えられていたのではないか?
彼女は常に「母」という絶対的採点者がいるなかで過ごしてきたのではないかと感じました。
たとえば学校の国語のテストで、
「私は宮沢賢治がそんな意味を込めてカムパネルラを描いたとは思わんぞ」
と思っても、学校が指定したとおりに答えなければ減点されたはずです。
同じように、「お母さんは変だというけれど私はピンクが好き」とミナミさんがいくら思っても、その想いに沿ってピンクのお洋服をねだろうものなら「そんなの変だわ」「バカみたいよ」なんて赤点評価とともに却下されたのではないでしょうか。
「ヨーカドーの服を着ているような人はケチ」
「座布団がボロボロになっているような家はろくでもないわよ、仲良くしちゃだめ」
「親身になって面倒を見てくれる人は、あんたを騙そうとしているから疑ってかかりなさい」
これらの言葉はすべて推測で私が作ったものですが、ミナミさんはこんなかんじの「母の評価基準」をインストールしつづけてきたのではないでしょうか。30年も!
今回はたまたま「婚活」がテーマになっているものの、義務教育時代の交友関係なんかもいちいち口出しされていたんじゃないかなあ。
「あんなに礼儀がなっていない子と仲良くしちゃだめよ」とか、「親御さんもなんだかボンヤリした方だものねえ」とか……。
ミナミさんは「断れず押し切られる性格」だとも自称していました。
実母に抗うことなく「自我」を押し殺してフラストレーションを溜めながら、母から常によい通知表がもらえるように生きてきたのではないか(自覚していたか無自覚だったかはわかりませんが)と思うのです。
だとすると、自己肯定感や自己受容なんて、彼女にとって遠い異国の文化のようなもののはず。
なにかに遭遇するたび、無意識のうちに「実母監修チェックリスト」が脳みそに現れて、相手や事象を減点法で瞬時にチェック。
そうしなければ彼女は生きてこられなかった(母から注意された、叱られた)のではないでしょうか。
あの母は「毒親」だろうか?→彼女なりに一生懸命生きてきたんだと思う
番組を観ながらミナミさんのこじらせ具合にため息をつきつつも、ほんの少しだけ映された実母とのやりとりを観て、ここまで書いてきたことをぼんやり思ったのでした。
徐々に同情心が湧いてきてしまったのです。彼女は昨今流行り(?)の「毒親」の被害者でもあるんだろうなあ、と……。
じゃあミナミさんは1ミリも悪くないのか? かわいそうなだけなのか? といったら、それは絶対に違います。
そんな母に一線を引けぬまま、「自分」を持てぬままここまで来てしまったのは、彼女の責任です。
ここまで実母を悪者扱いしてしまいましたが、本当はそうではないのですよね。
ミナミ母だってミナミ祖母の被害者なのかもしれません。
それに、ミナミをここまで共働きで育て上げる(ずっと私立校に通わせるなんて、本当にすごい!!)努力家さんです。
「あんな友だちと付き合っちゃだめ」というのは我が子を守りたい気持ちゆえ。
ミナミ母はなにもミナミをいじめるつもりで育ててきたわけではありません。
彼女は彼女なりに必死で、悩みながら一生懸命育ててきたんでしょう。
モヤモヤするけれど、悪者なんてどこにもいないのです。
そこにいるのは「考え方、価値観の違う他人」です。
「ショック療法」で自分軸で生きられていないことに気づく
ミナミさんが30歳になるまであまり疑問を持たずに過ごしてきてしまったように、物心つかぬころから刷り込まれている「他人の価値観」は、それが「自分のものではない」と気づくだけでも大変!
「なんとなく生きづらいな」「なんかモヤモヤするな」「よくわからないけどイライラするな」といったちょっとした違和感が「気づくきっかけ」なのでしょう。
でもみんながみんな心理学のプロなわけでもなし、これっぽっちのヒントでは自力のみでは気づけません。
だから「すごくショックな出来事」に対峙したとき、その痛みでハッとするんだと思います。
ミナミさんの場合、それが婚活だったのではないでしょうか。
でもこれが「初めてのショック」なのであれば、自分の価値観の歪みに気づくのはもう少し先かもしれません。
何回か辛い目にあってやっと、「気づく」「課題を見つける」「課題解決に取り組む」という段階に至るのではないかなあ。
あくまで、私の経験上の推測ですが。
私自身も自分の母を「すごい人だ!」と一目置いていたがゆえに、彼女の価値観を相当インストールしていて、そのことでいろんな悩みが生じていたのです。
▼たとえば、こんな悩みごと
ちなみに私の父はびっくりするほどチャランポランです。空気は読めません。延々とドヤ顔で話し続けるなんてしょっちゅうです。ほかにもいろいろ!
そんな2人のハーフなんだから、母と同じ「気が利くしっかり人間」になんてなれるはずがないんですよ(笑)
36歳になってやっと、「母は母、私は私」という「自分軸」の考え方を少しずつ手に入れている実感があります。
それでも体調が悪いときや弱っているときはすぐ、他人軸で物事を判断するかつての自分にすぐ戻ってしまうんですけどね……。
ここに至るまでに何度「婚活」に匹敵するショックを受けてきたことでしょう。
ショックを受けるごとに「なにかおかしい」と気付かされ、本やらカウンセリングやら心療内科やら、いろんな手段で自分の心を解剖して、納得して、足掻いて、やっといまの状態です。
歳の割にまだまだ幼い考え方の人間であるとは自覚していますが、それでも、
「いまの自分がいちばん受け入れられる」!
歳を重ねると「ああ、学生時代に戻りたい!」「もう1回20代をやりたい!」なんて言い回しをすることがありますが、本当に1ミリも1ミクロンも、そんなことは思いません。
単にオバタリアン(!)化して面の皮が厚くなっているだけという説もありますが、「他人は他人、世間は世間、私は私」と割り切って、「みんなにとっての良い子を目指すこと」を諦めたら、少しずつ生きやすくなりました。
『妖怪べきねば』なんてエッセイ(電子書籍)を書くくらい、他人の目を常に意識して良い子であろうとしていたのに! です。
ぐらついても、引き戻されても、「自分軸」を育て続ける
ミナミさん、これからしんどいことがいっぱいあると思います。
これまではしんどさを見なかったことにしたり、逃げたり、相手を悪者にすることで自分を守ったりしてきたんじゃないかなあ。
でも結婚相談所の所長さん(植草さん)が叱ってくれたのをちゃんとメモしていたように、「受け止める」回数が増えたらいろんなことが変わってくるはず!
「え、お母さんが言っていたのと違う!」
「私はこういう価値観を持っていたのか!」
なんて気付かされるたびに、お母さんと自分が切り離されて、生きやすくなっていくんじゃないだろうか。
生きやすくなるということはごきげんな時間が増えるということでもあって、それは人付き合いにもきっとよい影響をもたらすはずです。
30歳という節目の年齢なので焦りもあるでしょうけれど、婚活を一旦やめてみるのも手じゃないかと思ってしまいます。
興味のある分野への転職活動に邁進し、それが決まったら一人暮らしをしてみるとか。
いくらショック療法を受けても、ひとつ屋根の下にお母さんがいたら、すぐに元の自分に引き戻されちゃうから……。
とにかく、いまは「お母さんに減点されないように」生きてしまっている印象です。
自分で加点しながら生きてほしい。
婚活はそれからでいいんじゃないか。
というか自分で加点できるようになったら、婚活せずとも、いまこだわっている些細なことを超越した「この人だ!」というパートナーと出会えるかもしれないよ。
……な~んて、わかったようなことを偉そうに書いてしまいましたが、自分に向けて書いている節が多分に含まれています。
長年にわたって、しかも幼少期から刷り込まれ続けたものを「なかったことにする」なんて無理な話なんですよ!
私も油断すればすぐに「べきねば」な自分が出てきて、不機嫌になって、そのことに気づいたときに後悔して、自分にがっかりして……というスパイラルの繰り返しです。
それでもちょっとずつ「他人軸思考」を手放して、「自分軸」で愉快に生きていけるようにがんばります。
「自分にやさしく、人にもやさしく」するほうが、生きやすくなって人生が豊かになると思うので。
と書きながら、夫が家事を手伝ってくれたというのに、やり方の些末なことでイライラしてしまい、反省した今日でした……。
「自分が理想とする家事の段取り」を捨てることの難しさよ!!!
家事に限らず、「他人と家族になる」とはこういうことだ。
相当にやさしくて人間ができていて尊敬している我が夫に対してでも、自分が未熟だとこうなっちゃうんだということを、私はミナミに伝えたいよ(笑)
子育てにおいても、「自分は自分、夫は夫、子どもは子ども」と線を引きながら生きていかないと、自分の首を締めるだけの人生になっちゃうな。
ミナミ母と同罪になっちゃう。
「人の振り見て我が振り直せ」を痛感した「ザ・ノンフィクション」でした。
そして、こんな人間でも結婚できたんだからミナミさんも自分で納得いく未来が作れるよ、と声をかけにいきたい。
お互いに、いい意味で「諦め上手」になりたいね。
彼女と飲みに行きたい。(夫が稼いでくれたお金で)ちゃんと奢るからさ。
ヨーカドーの服を着ていくけどそれは許してね。