横浜グランドインターコンチネンタルホテルのラウンジ「マリンブルー」で開催中の「ベジスイーツブッフェ」訪問記を3回に分けてお届けした。
※第1回
※第2回
※第3回
「ベジスイーツブッフェ」は火曜~木曜しか開催しておらず、15時~/18時~の2部制ということで、サラリーマンの訪問は大変厳しいという点が無念でならない。
以下、どうしても我慢ならず有休取得して「ベジスイーツブッフェ」を訪れた際の日記である。
■みなとみらいに船で行く
横浜グランドインターコンチネンタルホテルは、みなとみらい駅付近にある。
みなとみらい線に乗って赴くのが常だが、せっかく平日に有休を取って来たのだから、と、敢えて海上バスの「シーバス」を使うことにした。
横浜駅からみなとみらい駅まで、乗船時間は約10分。
料金は410円とややお高いが、そこは受け入れよう。
電車の横浜駅から乗り場まではなかなかの距離がある。
切符を買って、乗船のときをしばし待つ。
平日ということもあり、やっと辿りついたシーバス乗り場には子連れのママが集まっていた。
大きな窓で覆われた、背の低い船。
これこそがシーバスである。
船はそれなりに年季が入っており、「冷房の効いた船」独特の匂いがした。
・・・まずい。こういうのはあまり得意ではない。
冷たい風は窓際から発されていたため、極力離れた、船内中央通路付近の位置に陣取った。
椅子の年季が入った感じも苦手ジャンルのため、大変浅く、背筋ピンピンで腰かける。
この「古いもの苦手体質」には毎度嫌気が差すのだが、こればかりは生理的なものなので仕方がない。
天気は非常によく、今こうして(やや居心地悪めに)私が乗船している間にも、世のサラリーマンたちは働いているのだ、と思うと大変気分がよかった。
この感じこそ、有休取得時の最大の贅沢だと思う。
ところで、シーバスとは「海上バス」のはずなのだが、
なぜかスペルは「SEA BUS」ではなく「SEA BASS」である。
パンフレットによれば
横浜駅東口(帷子川 ※かたびらがわ)河口の淡水と海水域を行き来していることから、魚のスズキの意味である「SEA BASS」と表記しています。
とのこと。
ハマっ子のハイセンスネーミングである。
説明を要する感じが、なかなか好ましい。
※帝國ホテルに通ずるものを感じる
あっという間にみなとみらいに到着。
降りる際に進水年月日が記載されたプレートが見え、この船が私と同い年であることがわかった。
「古くて苦手」
「冷房の匂いが独特で苦手」
この船に対する感情が、すべて私に跳ね返された想いがした。
私ももう、若くない。しみじみ。
■「ベジスイーツブッフェ」客層
制約の多い食べ放題なので、有閑マダムばかりがウフフ、アハハと集結しているのかと思いきや、お歳を召した様子のご夫婦などもいらっしゃった。
有閑マダムと思しき女性も、ほとんどが女性同士の2人組、多くて3人組。
ぞろぞろと大勢で来ているような方は見当たらず、全体的に上品な客層である。
ラウンジ「マリンブルー」は通常営業もしているため、打ち合わせ中のビジネスマンの姿もちらほら。
私が通されたのは、東京湾がよく見える窓際の席だった。
海を見ながら、ケーキ。
なんと優雅な時間だろうか。
ぐっと幸せを噛みしめた。
ひとしきり食べてハピネスチャージも十分というところで、背後の客席では「集団的自衛権」がホットトピックスとなっていた。
定年を迎えたと思われるお父さん、お母さん、そしてお譲さんの3人組。
ちょうどお母さんが席を外されており、お譲さんがお父さんに本件について色々と尋ねているのであった。
私も政治はかなり苦手な分野であり、父に尋ねることが稀にある。
勉強になるし、何より父と娘の気まずい空間において間が持つので、ありがたい話題なのである。
どこの家もそうなのね、なんて思いながら聞いていると、お譲さんの「集団的自衛権の行使容認に、反対!」の想いは徐々にエスカレート。
「アメリカなんて何もしてくれないじゃん!」
「利用されて終わりじゃん!」
「クソ安倍さんが、あ、違う、クソ安倍がさあ!」
きっとお嬢さんは、真面目で、本当はやさしい人なのだろうなあ。
しかしまさか、ケーキ食べ放題の優雅な時間と、集団的自衛権というゴツイ話題が同じ空間に居座ることになろうとは。
いつの間にか戻ってきたお母さんは一言も発することなく、ケーキを召し上がっていた。
ひとしきりマシンガンのように発言したお嬢さんは、さすがに疲れたのか席を外し、トイレへと向かっていった。
すると、残されたご夫婦の間で持ち上がった話題は「年金」であり、とても日本のことを考えているご一家なのだなあと感服したものである。
彼らがケーキをおいしく召し上がることができたのかどうかは、非常に疑わしい。
■甘いものだけでは生きていけない
再訪困難な食べ放題とあり、いつも以上に食い意地が張ってしまった。
胃の中にケーキを詰め込みすぎてしまい、最後にはイカの塩辛が欲しくなっていた。
しょっぱいメニューも確かに用意されているが、もう少し種類があるとありがたかったな、と思う。
さらに言うなれば、ここまで胃に詰め込まなくて済むよう、陳列しているケーキをいくつか好きなように詰め合わせできる「お土産パック」なども販売したらよいのではないか。
もし来年も開催されるようなら、期待したいところだ。
重い腹を抱えながら、帰宅後にお茶と漬物を食べたところで、私の有休遠足は終了したのであった。
卵焼きに混ぜるの、いいなあ。
傷むのが怖くて卵が買えないけど・・・