東京・日比谷にある帝国ホテルのブフェレストラン「インペリアルバイキング サール」のランチに行ってきた。
1958年8月1日「バイキング」という食のスタイルが帝国ホテルから生まれました
と書かれているとおり、スカンジナビアの伝統料理「スモーガスボード」をヒントに、帝国ホテルが日本で初めて「バイキング」と称して食べ放題スタイルのレストランをオープンさせたのだそうだ。
訪問するのはこれが2度目。前回は2014年のディナータイムだった。そのときは生まれて初めて触れた「帝国オーラ」にときめき、建物が醸し出すプライドのようなものが一周しておもしろくなってきてしまったのだが、今回は果たして!?
全体像
2017年7月初旬、帝国ホテル館内のレストランでは、日本・タイ修好130周年を記念した「タイフードフェア」を開催中だった。
広々とした店内、重厚な内装、中央で輝くオープンキッチン!インペリアル!
ドライフルーツ取り放題なんて、「ビッグボーイ」のサラダバーにはないもんなあ。
その隣には怒涛のチーズコーナー。さすがの「シズラー」にも、ないぞ。
パルミジャーノ削っちゃーの!
サラダのトングひとつとっても、「おお、帝国……」と無駄に感動。このトング、取りやすい。
ドレッシングも複数種あったけれど、塩の種類の豊富さも特筆しておかなければ。天ぷらはなかったけれど、上流階級の方々はこれを何にかけて食べるのですか?天ぷら欲しかったなー。
ケーキのようなかわいらしい見た目の「帝国ホテル伝統のポテトサラダ」も見逃せない。伝統のローストビーフ、じゃなくてポテトサラダというところが、真の伝統の風を感じさせてくる。ケーキみたいな見た目に、昔の人たちの工夫の色が垣間見えてほっこりさせられる。
デザートコーナーのほんの一部。
焼き菓子だけが置かれたスペース(ステラおばさんコーナーと呼ぶことにした)もあった。
その場で切り分け・調理してくれる料理も!
「いいところのバイキング」でお馴染み、その場でお肉切り分け型メニュー。この日は2種類あり、そのうちひとつが「牛フィレ肉のパイ包み焼き 赤ワインソース」。
食べるときは上品にナイフとフォークでいただくわけだが、そうすると外周を囲むパイは分断され、肉と一緒に食べにくくなり、メニューのアイデンティティを壊している気がして申し訳なくなった。これはバイキング(海賊)のように豪快に、ひと口でムシャリと食すべきだったのだろうか。
それにしても、少し水分を含んだパイ生地というのはどうしてこうもおいしいのだろう。ぱりぱりのパイより、ぶよぶよのパイが好きだ。ケンタッキーフライドチキンのチキンポットパイの裏側が好きだ。あれは、皿のフチについたカリカリ部分を全部外してスープのなかで育ててブヨらせてから食べるに限る!どうでもいいけれど、かた焼きそばもスープに浸かってブヨったところのほうが好き。……はっ、気持ちを帝国ホテルに戻します。
ローストポーク リンゴのチャツネ添え。
チャツネとは、野菜や果物に香辛料を加えて煮込んだり、漬けたりして作るソースまたはペースト状の調味料で、インド料理には欠かせません。
※引用元:Q.チャツネとは何ですか。 | よくあるご質問 | ハウス食品
とのことなのだが、平易に言うと「アップルパイの中身」が添えられていた。
お肉にベリーソースをかけたり、酢豚にパイナップルを入れたり、とにかく「肉と果物の甘酸っぱさ」は相性がよいと聞く。オラオラ感あふれる雄々しい男子が、隣に可憐な女子がいるせいでいつもよりおとなしく、ちゃんと振る舞っているような感じか?花道の「春子さん」的な……(スラムダンク)。
「小海老とニョッキのゴルゴンゾーラソース」や「エスカルゴの香草クリームソース」など、その場で温めて仕上げ調理をしてくれるお料理も。
コモエスタ・エスカルゴ~!
クリーム系のソースが残ったお皿をパンで拭う幸福、ありがとう。
いろいろ食べた
ポテトサラダのみならず、冷菜も充実。スモークサーモンが食べ放題だなんて夢のようだし、その上に乗せるケッパーも乗せ放題だった。こんなうれしいことってある?
手前に盛った、野菜のテリーヌ3種もおいしかった。感想を聞かれて「おいしい洋風かまぼこ」と答えてしまった自分のグルメセンスをどうにかしたい、とは常々思っている。「このかまぼこうめえ」って、初期ONE PIECEのルフィじゃないんだから(最近どうなっているんですか)。
怒涛のチーズコーナーから取り寄せたチーズの数々はゴルゴンゾーラ、レーズンバターのようなチーズ、モッツァレラ、カマンベール、パルミジャーノ。何もかもおいしかったけれど、おかわり回数最多はこれらチーズ群だった。チーズはどこへ消えた?胃袋に消えた!6pチーズも好きだけれど、それとは風格がちがう。好きなだけ食べていいだなんて!
グラタンなどの「全国各地のバイキングでお馴染みの料理」も陳列されており、唐揚げ&コーンコロッケなる一角も。「せっかくなら、帝國ホテルでしか食べられないものが食べたい」と敬遠する方々もおられようが、ポテトサラダしかり、こういう定番メニューにこそ帝国ホテルの本気が散りばめられているのではないかと思うのだ。
コーンコロッケとは名ばかり、”コーンポタージュコロッケ”じゃないか!という代物も数多くあるが(そしてそれらが好きであるが)、どうだこの断面。コーン祭り状態。これが帝国イズム!
唐揚げはカリカリタイプで胡椒の味がガツン。エンペラーはきっとビールが好きなんだろう。野菜のテリーヌはおかわりしなかったけれど、唐揚げはおかわりしたもんなあ。
普段は甘いものを食べないのだが、この日ばかりはガツガツと。「ザ・スポンジケーキ」のようなものはひとつもなくて感動した。写真右手のミニグラスなんて、すごいんだ。モンブランの”モン”部分のみが詰め込まれている(要は栗がとぐろ巻いている部分のみ)。モンブランを食べるときはいつだって「この、栗の部分だけ食べたいなあ」と思っていた。その夢を帝國ホテルが叶えてくれるとは。
ところでこの写真、右手背後に写る茶色い塊は「チキンの唐揚げ」。「デザートのデザート」用に盛ったのだが、甘い物のあとの唐揚げはまた格別だった。
「帝国ホテル」というロケーション
遠足は「家にたどり着くまで」のことを指すが、「インペリアルバイキング サール」のバイキングタイムは「会場にたどり着くところから」スタートなのだと思う。
普段ビジネスホテルしか利用しない身としては、老舗ホテルのロビーに佇むだけで高揚してしまう。
レストランフロアの17階から見える日比谷公園。とりわけ美しい光景というわけでもないのだが、その場にいると窓の外が輝いて見えるから不思議。
お手拭きは
もちろん、ふかふかタイプでした。
バイキングの料理がおいしいのは当然なのだけれど、ドンと落ち着いた、それでいて豪勢さを感じさせる調度品や、スタッフの方々の振る舞いなど……全体的に「おお、インペリアル!」「おお、ブフェ(意地でもビュッフェとは表記しないところが好き)!」という気持ちになれるランチタイムでした。
※帝国ホテル「インペリアルバイキング サール」の予約はこちらから!
インペリアルバイキング サール (THE IMPERIAL VIKING SAL) - 帝国ホテル 東京/ブフェ [一休.com レストラン]
※ディナータイムのレポートはこちらから!
帝国ホテルのディナービュッフェ「インペリアルバイキング サール」へ!(2017年12月30日再編集)