独特の世界観を持つ沖縄のレストラン「マリブハウス」。
自ら「映画ポスターの博物館のようなレストラン」「ヘルシー・フード・レストラン」と称しており、そのムードやオーラは店内だけにとどめられないほど強大だ。
※お店の外に漏れ出すオーラを感じてください
記事を書き始めたはいいが、前回は入店~着席で力尽きてしまった。
パワーが要る。
今回こそ、マリブハウスが誇る健康食メニューをご覧いただきたい。
メニューにもほとばしる「俺流」
訪問時、既に食事は済ませていたのでドリンクだけいただくことに。
やっす。
全品150円とは。
あまりに独特すぎて忘れそうになるけれど、一応、沖縄のビーチだぞ!リゾートだぞ!
唯一の200円メニューである健康茶がイチオシらしい。
その名も「陽茶(やんちゃ)」。
店内の情報量過多っぷりこそ、まさに「やんちゃ」な気も・・・あ、店内どころか外もだけど・・・。
メニューをひっくり返せば
「映画ポスターの博物館のようなレストラン」感と「ヘルシー」感の同居。
よりによってカルキン氏・・・皮肉なものである。
とりあえず素直にホットコーヒーをお願いした。
が、お腹いっぱいのはずなのにフードメニューが気になって仕方ない。
三つ折りラミネート加工のニクイやつ。
ええい、オープン!
どれもこれも300円~600円と激安。
「ヘルシー・フード・レストラン」らしく、「玄米」「根菜」「ベジタブル」といった言葉が並んでいる。
お店の外の看板で紹介されていた「室伏おにぎり」の姿が見当たらないのでそわそわする。頼めば、出してもらえるのかなあ。
※前回記事より
いや、それより気になるのは1番左のページだ。
怒涛の文字量がちらちらと視界に入ってくる。
「マリブハウス21世紀ビジョン」!!
すごい、どこかの教育委員会とかPTAとかで言ってそうだ。
”マリブハウスは小さな挑戦を始めます。”
”食”を見直し、提案することが出来る舞台、そして、お客様に感謝する事によっていつか竜宮城からInvitation(招待状)が届く事を信じて・・・。
最終行のファンタジーパワーを受け入れてこそ、大人だ。
読み進めよう。
先ほどよりもグッとポエミィに。
要約すると、「映画が私たちに感動を与えてくれるように、私たちも健康食を通じて感動をお届けしたい」ということ・・・だと思う・・・(現代文苦手だったから、自信ないなあ・・・)。
そういえば、あの看板メニュー2品がなりを潜めている。
もちろんその2品とは、
こちらです。
超イチオシメニューということで、大きく、熱く、情報量たっぷりに、別ページにて紹介されていた。ご覧いただこう。
1)キム・ヨナ(選手)にも食べてもらいたいシチュー
デミグラスソースにみそが入っているらしい。
ほどよい隠し味感、けっこうおいしそう。
それがどうしてキム・ヨナなのかと思うのだが、メニューを解読するに、「彼女の完璧な演技は、甘いものを断ったからこそ」「シチューのソースには(キム・ヨナのように)しなやかな身体にしてくれる秘訣が込められている」・・・ってどういうことなんだ!
2)イチロー(選手)にも食べてもらいたいカレー
根菜をじっくり煮込んで作られた健康カレー。
なぜイチローに食べてもらいたいか・・・は、言うまでもなく「イチロー=朝カレーの人」だから。
いつか食べてもらいたくて、いろいろ考えて、ゆっくり時間をかけて野菜の甘みを活かしたカレーにたどり着いたのだとか。
キム・ヨナシチューに見習ってほしいくらいの一途な想いである。
食べたくなってきちゃった
ここまで来たら、もう食べずにいられないじゃないか。
さすがに両方いただくにはお腹もいっぱいだったので、キム・ヨナ(選手)に食べてもらいたい理由がいまひとつ腑に落ちない、シチューのほうをいただくことに。
ほどなくして届けられたのが、こちら。
あと乗せブロッコリーが色鮮やかなシチューと、沖縄の炊き込みごはん「じゅーしぃ」を彷彿させる色合いの玄米がセットになっている。600円也。
野菜がよく煮込まれているというドロッとしたシチューには、確かに味噌の風味を感じる。
にんじんを中心とした野菜は実に柔らかい。
ここにお肉が入っていたら、うれしいんだけどなあ・・・なんてことを言ったら、マリブに潜む「健康神」にお説教を食らってしまいそうなので、胸のうちにしまいこむ。
玄米のほうはというと、見た目は炊き込みごはん風なれども、味つけはほとんど施されておらず、玄米そのものの味わいが楽しめる。
柔らかめに炊かれており、全体的に薄味で、お年を召した方にもやさしい。
言い換えると、キム・ヨナ(選手)には少々早い、大人の味のような気がする。
なんだかんだ書いているが、素直に「やさしいおいしさ」だった。
この勢いでイチローカレーも室伏にぎりもその他メニューも、片っ端から検証していきたかったのだが、あいにく腹具合が万全ではない。
悔しいなあ、と思いながら再度メニューに目をやれば、最後の最後にこんな提案がなされていることに気付いた。
P.S
あなたがお持ちのポスターもお店のコレクションに加えませんか?
ユニクロのフリース回収もびっくりである。
最後の最後まで気が抜けない
たった600円のシチューセット。たった150円のコーヒー。
眼下に広がる大海原。店内に広がる映画ワールド(と、健康ワールド)。
大満足だ。コストパフォーマンスが高すぎる。
最後にお手洗いに行って、失礼しようとしたところ
う・・・うわあああああ!こんなところにまで映画と健康の波が押し寄せている!
(お手洗いの中はふつうです。きれいです。)
さらにレジ付近には
オリジナルTシャツ売り場と
プロゴルファーの宮里美香選手の応援コーナー。
すごい・・・すごいよ・・・。
映画と健康とスポーツ(野球・フィギュア・ゴルフ)が好きなオーナーさんであることがヒシヒシ伝わってくる。
いま思い返せばいろいろ質問してみたいことだらけなのだが、この時点では異世界との遭遇に面食らってしまい、情報処理に精一杯だったのだ。
いや、むしろ処理しきれなかった。
何も聞くことなくお店を出てきてしまったのが心残りだ。
「好き」を「仕事」に
潔さが心地よいほど、シチューとキム・ヨナ(選手)に関連性はなかった。
イチローカレーや、室伏にぎりはどうなんだろう。
映画のポスター以上に、唐突に設置されていたプチ・宮里美香ミュージアムの記憶が鮮やかだ。
そんなマリブハウスさんを振り返れば振り返るほど、1本びしっと通っている筋があることがわかる。
それは「だって好きなんだもん」の気持ち。
キム・ヨナ選手に魅了されてしまったオーナーさんが、自分の仕事と彼女をどうしても結び付けたくて、好きを仕事にしたくて、「キム・ヨナ(選手)に食べてもらいたいシチュー」ができてしまったのではなかろうか。想像だけど。
人生の大半を占めるのが「仕事」に従事する時間だ。
そこに「好き」のエッセンスを盛り込めば、毎日が楽しくなる。
そういうことを、マリブハウスさんは教えてくれているんじゃないだろうか・・・!
妙にマリブハウスさんから元気をもらった夏だった。
ああ、また沖縄に行きたい。
沖縄というよりマリブハウスに行きたくなっている。
あのカレーをいただかずして死ねるか!
次は「錦織パスタ」あたりが加わってるかなあ。「羽生サンド」とか・・・。
ちなみに2階建ての立派な建物ですが、2階は関係者以外立ち入り禁止なのでご注意を。
沖縄で訪れたお店はすべてが「マジで(また)行ってみたいお店」でした。
「行ってみたいお店・レストラン」by みんなのごはん