東京駅直結の東京ステーションホテルのレストラン「アトリウム」の朝食ビュッフェがすばらしい、とグルメの師匠に勧められた。
「旅好きが選ぶ!朝食のおいしいホテルランキング2017」(トリップアドバイザー主催)にもランクインしているそうだが、その朝食にありつけるのは宿泊者だけ。泊まりたい気持ちはやまやまながら、先立つものがなく……。
師匠に泣きつくと、日によっては予約すれば朝食だけ楽しむことができるということで、平日の朝に予約していただくことができた。喜び勇んで午前休を取り、朝7時半に東京駅へ!
※本記事は2017年9月に訪問した際の記録です。最新の価格、内容につきましては公式サイトをご確認いただきますようお願いいたします
東京ステーションホテルに潜入
東京駅を通るたびに憧れの気持ちは湧けども、東京在住の一般人にとって、ステーションホテルへの宿泊というのは縁遠い話である。
初めて足を踏み入れたステーションではホテルはフロントからして美しかった。
高い天井を見上げていると、そこはかつての東京駅のエレベーター跡地だとホテルの方が教えて下さった。旧駅舎のことなんてほとんど覚えていないが、それでも妙に感慨深い。
レストラン「アトリウム」はホテルの最上階である4階に位置する。旧駅舎時代は使われていなかった空間だそうだ。
最大天井高9メートル!雨天であったものの、天窓からの光が心地いい。
いざ出陣
「アトリウム」の公式WEBページによると、
人気メニューは、目の前で作る“エッグベネディクト”や、ホテル伝統のビーフシチューソースのほか、お好みのソースを選べるオムレツなど、どちらも出来立てをお召し上がりいただけます。さらに炊立てのご飯、湯豆腐、焼魚、煮物などの和食メニューを含む約70種のメニューを取り揃えております。
とのこと。
洋食
何から選ぼうか悩んでしまうほど、洋食だけでも幅広すぎるラインナップ。手前奥の「豚肉のロースト」はお肉1枚1枚が分厚く、肉汁で煮込まれた温野菜もまたおいしいのなんの。おかわりしました。
ソラマメのブイヨン煮なんてものも。
この「無塩せきベーコン」と「無塩せきハム」がおいしかった!
無塩せきとは、原料肉を加工の際、防腐剤、着色料を使用せず食塩・砂糖・香辛料を使い加工をした製品です
とのことで、しょっぱくないのにうまみたっぷり。
冷菜コーナーには色鮮やかなマリネが!特にこの日いただいた「本日のマリネ」は、ねっとりとした甘いイカにみょうがとケッパーが和えられていてたまらなかった。
もちろん、生野菜もたっぷり用意されている。
スープに感動
スープも和洋揃っていたが、特に洋食コーナーのスープがすごかった!上記写真はグルメの師匠が唸ったビシソワーズ。
私はオニオンスープを堪能。おいしすぎておかわりなのにこの盛りっぷり。「煮込まれたオニオンがたっぷり」であることは写真を一瞥しただけで伝わるだろう。
これにパンを仕込んでおけば
程よくふやけて、オニオンと絡み合う!
「ここはカレーもおいしいんですよ」と師匠にアドバイスを受け、関心は低かったもののとりあえず皿に盛ってみたらこのチキン量。カレーなのかチキン煮なのかわからない。
もったりした欧風カレーとサラサラのタイカレーの中間くらいの絶妙なとろみ。スパイスが効いていることはわかるのだが、辛くはなく、甘くもない。そしてチキンのみずみずしさがすごい!行ったら必ず召し上がっていただきたい料理のひとつだ。
師匠に教えてもらわなかったら無視していたなあ。食べておいてよかった……。
高級ビュッフェのチーズとパンは絶対見逃せない
名門ホテルの朝食といえば、絶品のパン。
「アトリウム」のパンも例に漏れず、見ただけでよだれが込み上げてきそうなおいしそうなラインナップが勢ぞろい。おかずの友としての食パン、クロワッサン、デザートにもなるデニッシュなどなど……。トースターも設けられているので、焼きたてを楽しむことができる。
食パン党のためクロワッサンやデニッシュにお目にかかる機会は少ないのだが、あまりにもおいしそうな見た目についいくつもピックアップ。
フルーツデニッシュは、なんというか「フルーツがフルーツのまま」!缶詰フルーツを否定するわけではないが、とにかくフレッシュな印象なのだ。
独特な形をしたフレンチトーストも本当に本当においしくて、何度おかわりしたことか。自宅で作る、牛乳を吸わせまくったグニャグニャフレンチトーストとは一線を画す逸品。生ハムを巻いて食べてもおいしかった!
そしてもうひとつ、外せないのはチーズコーナー。
帝国ホテルのブフェ(ビュッフェやブッフェではなく、帝国ホテルさんでは「ブフェ」と呼ばねばならない)でも、自宅で一堂に会することはないであろう様々なチーズをあれこれいただいたが、「アトリウム」でもそれは同様だった。
カマンベールチーズ、スモークチーズ、山羊のチーズ、コンテチーズ……香りが強いほど、好きです。山羊チーズばっかり食べてしまったなあ。
余談だが、チーズの下に置かれていたクラッカーはルヴァンでした(クラコットじゃなかった!)。
和食コーナーも豪華!
和食コーナーだって、すごい。新鮮なお刺身や、
だし巻き玉子などの温かいおかずに、
煮物。この日は烏賊入りのつみれ煮だった。
丑の日が近かったので、うなぎという生贄を神にささげる儀式が行われていた(と書きたくなるような盛り付け)。
味噌汁はお麩もネギも入れ放題!
ごはんは白米、国産雑穀の炊き込みごはん、お粥が用意されており、そのすべてが三菱の四角い炊飯器に入っている。ニクイね三菱!特に写真のお粥コーナーがすごい。
削りたての鰹節。
明太子にイクラにしらす……豪華すぎるおかずにびっくり。
それらをお粥とだけでなく、
冷奴に大根おろしと合わせていただくことができるのも、ブッフェスタイルの醍醐味。
とにかく和食コーナーはおかずのラインナップに心ときめかされる。緑茶で永遠に時間を過ごせそうな気がする。
シンプルなデザートコーナー
モーニングブッフェということもあり、デザート食べ放題の要素は控え目で、ゼリーやムースといったツルン系スイーツにヨーグルトといったラインナップ。
ピューレ族、家ではなかなか楽しめないものばかり。ココナッツピューレがおすすめ。
シリアルやオートミール。
フルーツ類、種類は少ないけれどグッとくるものが多い。手前はアロエ、奥にはメロンがある。
メロンといえば、一緒に食べたいのは生ハムでしょう。なぜかデザートコーナーに生ハムが設置されているのは、そういう理由からに違いない。
そしてそのすぐ横では焼き立てワッフルコーナーが。スタッフの方にお願いするとすぐに焼いていただける。生ハムワッフルもいいかもしれない。
和菓子コーナーも。海外からのお客様も多かったので、ニーズがあるんでしょう。
ドリンクもたっくさん
デザートやスイーツ系デニッシュにはコーヒーや紅茶を合わせたいところ。コーヒーは都度スタッフの方が注ぎにきてくれるし、
紅茶もご覧のとおりの品ぞろえ(緑茶やほうじ茶もあった)。
フレッシュジュースの種類も豊富で、マンゴー、オレンジ、アップル、グアバ、アーモンドミルク……テーブルに並べてみるとこんな事態に!
いちばんのオススメはエッグステーション
本当に本当にすてきだったので、最後の〆として「エッグステーション」をご紹介したい。
クロックムッシュとオムレツをその場でつくっていただけるエッグステーション。
クロックムッシュ
メニューには「アトリウムシェフオリジナル クロックムッシュにエッグベネディクトを載せて」とある。「乗せる」のではなく「載せる」のだ!
載せて、
高温オーブンでギュッと焼いて、
できあがり!!さながらクロックムッシュの戴冠式である。エッグベネディクトを載せたことによって、
この、奇跡が生まれる!!
お皿に描かれたバルサミコ酢が効いていて、エッグベネディクトのオランデーズソース、卵の黄身と相まって、個性があるのにまろやかな味わいに。
オムレツ
一方のオムレツは「ツナとトマトのバジル風味」「ホテル伝統の黒毛和牛のビーフシチューソース」「きのこのクリームソース」から選ぶことができる。
ホテル伝統などと言われたら頼まざるを得ない、ということでビーフシチューのオムレツを作っていただくことに。
手早くくるりとまとめられたオムレツを、
ひょいっとお皿に乗せて、
完成!ふわっとしたオムレツはバターが控え目なのかあっさりしている印象。小ぶりということもあって、いくつも食べられてしまいそう。
高級ホテルなのにスタッフの方々が気さくで居心地最高
お料理の数々、東京駅最上階というすばらしいロケーションの魅力は言うまでもないが、高級ホテルのブッフェながら、スタッフの皆さんがとてもおだやかで、「マニュアル通り」感のない気さくな応対をしてくださるのがとても魅力的。
エッグステーションのシェフのおじさん(と、敢えて呼びたくなるくらい気さく)に、「オーブン、そばに立っているだけで熱気がすごいですね」と話しかけると「そうなんですよ、毎日やってると痩せちゃって!」とニコニコ回答。全然スリムじゃないのに!面白くない(と、敢えて書いてしまいたくなる…)コメントがチャーミングすぎて心つかまれ、その後数回エッグステーションに通いました。
こうした肩肘張らない雰囲気が全体に行きわたっているので、朝食がおいしくて、楽しくて、本当に幸せになれる。
▲最後におみやげにいただける木村屋のパン
この素敵な朝食ブッフェは1名4,600円。平日限定で、営業時間は6:30~10:30L.O.となっている。朝食ということもあって食べ過ぎても罪悪感が少ないし、とにかく気持ちがリフレッシュされるので、たまの贅沢タイムということで午前休を取ってでも行く価値あり。心からおすすめしたい。
事前予約が必須なので、「アトリウム」公式サイトからご確認を。
夜の夜のフレンチディナーもいつか行ってみたい……!