こんばんは、天重の時間です。
浅草橋駅周辺にはたくさんのローカル蕎麦屋さんがあります。
ローカル蕎麦屋さんとは、その土地に根ざした「地元蕎麦屋さん」。チェーン店ではなく、行列が絶えない有名店でもなく、日々の生活の風景として溶け込んでいるお蕎麦屋さんを指します。
地下フロアがあるとは思えないローカル蕎麦屋さん
こちらのローカル蕎麦屋さん、なんと地下フロアがあります。そんなことを微塵も匂わせない外観に心くすぐられるのです。
「そばで血管を柔軟に」という標語まで張り出されている。その割にはビールセットに日本酒セット、天ぷら天丼をプッシュしており、健康になってほしいんだかなってほしくないんだか。「おいしいものは、脂肪と糖でできている」ことをとてもよくわかってくれているんだなと思います。信頼できます。きれいごとだけ言われても心に響きませんものね。
迷わず入店、念願の(？)地下席に案内されました。
隠れ家感がすごい。「隠れ家的な蕎麦屋」というやつだ。
だから私は言うのです、「隠れ家的な蕎麦屋に行ってきたの」。
それを聞いた友人は想像する。路地の角という角を曲がりに曲がって辿り着くは、なんのことはない一軒家。表には石川という表札がかかっていて、ハテこれが蕎麦屋？なんて思いつつも戸を叩いてみる。すると奥から女将さんが「ようこそいらっしゃいました」と案内してくれるのです。ここは「あんない」ではなく「あない」と読んでみます。
ご主人がそば粉からこだわりにこだわって、打ちに打ちまく……るかと思いきや、やさしいタッチでそばを打っている。何事も強弱が肝心なのです。ビジネス街のゆで太郎の10倍くらいの時間をかけて提供された蕎麦は凛とした佇まい。おや、つゆがない。きょろきょろしているとそこにスッと女将が現れます。
「うちは最初にそばつゆを出さないんです、十割なんでね。まずはそのまま、蕎麦の風味を、香りを、楽しんでくださいませ……」
「隠れ家」の3文字だけでこのくらいは空想できるはずです。
いつから「隠れ家」は「一見すると民家のようで、こだわりの逸品がいただける場所」という意味になってしまったのでしょうか。
そういう「隠れ家」もよいものですが、私はこっちの隠れ家が好きです。窓はなくとも、相撲番付表がある。これがあるだけでなんだか安心できるというものです。安美錦引退ですってね！
「塩天丼」いただきます
壁におすすめメニューとして掲出されていたので「塩天丼」と「もりそばセット」をお願いしました。見た目は「天重」です。
もりそばセットにもたっぷりと天ぷらが！天ざるとは呼ばない。もりそばセットです。理由は後ほど。
天丼といえば甘いタレが特徴ですが、塩天丼というからにはあのタレはかかっておりません。
白米に海苔、その上に塩天ぷらという構造でした。
ごはんはあくまでも、ごはん。海苔というのも大変気が利いていて、飽きることなく最後までさらっとおいしくいただけました。丼物における「白いごはん」がこれほどにも旨いとは。ほんのりと天かすをまとっているのもまた良し。うな重も、こういうのがあればいいのに！
調味料にごまがあるのもうれしい。ごまごはんだって楽しめるわけです。
さらにお吸い物に感動！わかめと三つ葉がもりもりと。三つ葉いっぱいのお吸い物は大好物です。
もりそばセットという名のモビルスーツ
いざお会計、伝票をひらりと表に向けると……
M(モビル) S(スーツ)！！
天ざるではTZですものね、どうせならMSと書きたい。お気持ち察します。
その下の「ゴハンスクナメ」のつづりが「GOHAM」であるのもまた、発見でした。
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