「おもしろい話があってね」と話を切り出すのは勇気が要る。こういう話は、たいてい、おもしろくない。でも本人の中ではおもしろかったのだ。大笑いしたのだ。
乗換案内で「田原町」と入力したつもりが、画面には「俵万智」。じわりと面白く、気分が高揚したものの、こういう話というのは得てして他人に喋ったところで全く笑えないのだ、と私のハートが叫んだから、3月12日は田原町記念日。
— やまま@やまやま (@yamama48) 2017年3月12日
なのに口にすると途端におもしろくなくなる。噺家さんなら、鮮やかに笑いを再現させられるのかもしれない。私には力がないので、田原町の件の興奮は、SNSでの発信に留めた。発信したんかい。でも「話す」のは避けた。(Facebookでいいね!してくださったみなさん、ありがとうございました。心が浄化されました)
愛するベローチェが30周年
話は変わって。大好きな安価コーヒーチェーン・ベローチェが今年創業30周年を迎えたのだそう。
コップのフチ子さんならぬ、「ふちねこ」プレゼントというキャンペーンが行われている。ドリンク3杯分のレシートを集めるともらえるというもの。あっ、配布はすでに終了しています。
ふちねこキャンペーンについて|カフェ・ベローチェ30周年キャンペーンサイト
「ふちねこ」の画期的な点は、存在そのものがクーポンであるということだ。30円引きになるらしい。4月30日までの間、何度でも使える。さすが、世界一のコーヒーゼリーを安価に提供するコーヒーチェーン(持論)は発想が違うなあ!
ふちねこを入手した私は喜び勇んでベローチェに行き、
「ブレンド、小さいほうください。店内で」
といつも通りに注文し、
ス、とふちねこを差し出した。
ブレンドは200円。このコーヒー価格高騰時代に200円!安いなあ、でもさらに30円引きだ、悪いなあ。そう思いつつも、反対の手のひらには170円(ぴったり)が握りしめられている。
「ブレンドコーヒーは対象外です」
\ えっ? /
お姉さんは対象商品一覧が記載された紙を見せてくれた。
お菓子類が対象商品のほとんどを占めており、ドリンクはルイボスミントティー(230円)と抹茶フロート(350円)のみ。
「ご注文、変更なさいますか?」
問いに対し「いえ、ブレンドで」と返答するまで、時間にして1秒もかかっていないが、それはそれは白熱した戦いが己の中でなされたのである。
せっかくなら、ふちねこの恩恵に浴したい!
でもどっちの飲み物も興味がない!
いや、興味がないからこそ、ふちねこによって新規開拓できるのではないか!
注文変えたら「そこまでして割引されたいんだ、フフ」って思われるじゃん!
思われねえよ自意識過剰野郎!
うおお!
やるかコンチクショウ!
わああ!
・・・
「ブレンドで」
「ふちねこスッと出し」ポーズのままで大人らしくシンプルに、そう述べました。初志貫徹。私はコーヒーが飲みたかったのだ(言い聞かせてる)。
せっかく170円ぴったりを握りしめていたのに、かばんから財布を掘り返し、30円を探した。なかったから、100円玉2枚を差し出した。全面的に準備が無に帰った瞬間。こんなことも、あるよね。
…というベローチェ・エピソードを語ったところで、きっと何ひとつおもしろくならないのだ。これが起きたのは出社前のことだったので、出社直後にうっかり隣の席の同僚に話しかけそうになったが、ぐっとこらえた。よく耐えたと思う。
「ひとりで気分が盛り上がったこと」を話す難しさ
その日の帰り、いつもどおり下を向いてあるいていたら、カナル式イヤホンのゴムの部分だけが落ちているのを見つけた。
この写真でいうところの、ゴムのほうです。
正式名称は何なんだろう。「カナル型イヤホンのカナル部分」か?それにしても、カナルって何なんだ。「カナル」との遭遇はガダルカナル・タカ以来だ。
それはさておき、その落とし物を見つけたときの哀しさといったらなかった。それはそれは、切なかった。落とし主のことを考えてごらんなさい。
私も「カナル部分の紛失」をしがちだからよくわかる。音楽等々を聴く気まんまんでポケットをごそごそして、いざイヤホンを耳に突っ込もうとしたら、カナルがない。イヤホン本体はあるのに、あんな小さなパーツひとつのために、聴けない。あのガッカリ感。
落とし物の姿を通じてその気持ちが蘇ってきて、哀しい気持ちのまま居酒屋に入った。うっかりそんな話をマスターに話しかけようとしてしまったが、ぐっとこらえた。この哀しみ、私ごときの表現力では伝えられん。マスターも返答に困るであろう。おかげさまで別の話で盛り上がった。うん、よく耐えた。
つくづく、「語り伝える」とは難しいことだなあと思う。落語ってすごい、「すべらない話」ってすごい!
結局この話もうまくまとめられなかった。最近思ったことのメモ、ということで…。