居酒屋にまつわる白熱トピックスのひとつは「お通し」ではないだろうか。
「なぜ頼んでもいないのにお金がとられるのか」という話題になりがちだが、「客が飲み食いしたいものをオーダーし、店舗が頼まれた飲食物を提供する」という一方通行の流れの中で唯一のミステリーゾーンが「お通し」なのだ、と思うといかがだろうか。世間では「ミステリーツアー」や、パッケージを敢えて隠すDVDレンタル「NOジャケ借」などが流行しているというではないか。お通し、もっと愛されたっていい。席について、「とりあえずビール」と言った瞬間から、脳内で「♪何が出るかな(ライオンのごきげんよう)」を流すくらいには楽しみたい。
※参考:ヒントは添えられた一文のみ ジャケットを見せずにDVDをレンタルするTSUTAYAの「NOTジャケ借」、その企画意図は? - ねとらぼ
このブログでも事あるごとに書いているが「解凍したてでビッシャビシャの枝豆」あたりはハズレ目。「やたら甘い切干大根」あたりも、ごきげんようサイコロで言うところの「ありえない話」くらいのガッカリがある。話し上手なゲストならいいが、「そんなん、大いに”ありえる”だろ」みたいな話をされてもねえ。でも切干大根、すごくおいしいこともあるからなー。
でも、それはそれでヨシ。ハズレがあるからアタリがうれしいのだ。
ときには、こんなにもきちんとしたお通しが振る舞われることだってある。「今日のアタリ目」にも程がある。ライオンお洗濯グッズ以上のトキメキが、そこにある。
こんな立派なサバをお通しとして提供してくれたのは、浅草エリア・蔵前駅近くの「男子厨房酒場 蔵の灯」。大根おろしとともに添えられているのが「うずらの煮卵」なのがニクイんだ。『孤独のグルメ』のゴローさんじゃなくても「うずらの卵を見るとワクワクするのって男の子っぽいよナ」と言いたくなる。だって”男子厨房酒場”だもんなあ。
「蔵の灯」さんに初めて伺ったのは昨年のことだが、そのときは立派なサンマの塩焼きがお通しとして振る舞われた。そのときの想いはニュースサイト「AFTR5」さんに寄稿させていただいたのでよろしければご覧ください。
エビフライが提供されたこともあったっけ。毎回異なる豪華なお通し、もれなくおいしい。「お通し=頼んでもいない、いらないオマケ」というイメージがある方にはぜひ訪問していただきたい。
「今月のおすすめ」メニューより、「外カリッ!中フワッ!自家製厚揚げ(480円)」。薬味としてミョウガと高菜が添えられて、うれしくてニヤリ。
メニュー名を裏切らない、「外カリッ!中フワッ!」っぷり。
「B級グルメ 甲州名物 鶏モツ煮(650円)」。キンカン(成長途中の卵)の鮮やかな黄色に目を奪われる!モツ煮大好きだけど、キンカン入りはとりわけトキメいちゃうなあ。
片側の口角がキュッと上がってしまうような演出の数々に、心が躍る。
「牛タンコロッケ(194円)」は1個からお願いできるのがうれしい。ジューシーでしっとりとしたコロッケのなかに、ゴロゴロっと牛タン。
「蔵の灯」名物の自家製ロースハムも忘れちゃいけない。この日お願いしたのは「絶品ロースステーキ(680円)」。添えられているのはワサビ&マヨネーズ!いやもう、ほんと、つくづくありがとう、私の思考回路が先読みされているかのような心地です…
食べログにも載っていない、地元の方たちに愛される知る人ぞ知るお店。
公式WEBサイトはないのに、なぜか公式Instagramアカウントがあるあたりも微笑ましいったらない。もちろんフォロー済。またおいしいもの食べさせてください。次回のお通しも楽しみ。