毎日生きていくなか、全体の9割3分1厘くらいは毎度ひとりで飲み食いしている。
そのうちの何割が食べ放題なのかは知る由もないが、さすがに連休中は知人友人と連れだって飲食する機会がちらほらとあった。
そのうちの一夜は、ひとりでは遭遇できなかったイベント「バルタウン」に参加。
楽しかったうえに、不定期でちょくちょく開催されているイベントだというのでご紹介したい。
■簡単に言うとバルタウンとは
前払いでチケット(3枚綴りだった)を購入。
イベントを開催しているタウン内で、15~20店舗程度の協力店舗でチケットを出すと、その店の特別メニューがいただけてお酒が飲める。(注意点あり。後述)
何を頼めばいいのか悩むことなく、お初のお店で飲み食いできるというのは気楽でとてもよい。
今回は自由が丘・中目黒・渋谷という3エリアで開催されたバルタウンのうち、中目黒を攻めたのでその感想をお届けしたい。
渋谷×中目黒×自由が丘から検索するグルメ、barのバルイベントのサイト/東京、横浜バル情報 - バルタウン
■一般人の私が中目黒で飲んでもいいのだろうか
中目黒。
中目黒のキャッフェ。
中目黒のBAR。
「中」「目」「黒」。
漢字3文字が持つお洒落度増殖パワーたるや、凄まじい。
私がこよなく愛するお下品TVプログラム「サンデージャポン」において、テリー伊藤氏がモテるために散歩をしにくるのも、ウーマンラッシュアワー・村本氏が焼き肉を食べるのも、とにかく中目黒なのである。
この地でサイゼリヤ、吉そば、大戸屋、吉野家で食事を済ませたことはあるが、カフェーもワインバーも大衆居酒屋も、なぜか敷居の高さを感じて乗り込みづらかった。
そんな超ド庶民の私にも、等しく「ナカメで飲み食いしていいよ」と抱擁してくれるのがバルタウンなのである。
チケットは当日購入で3,400円だが、今回は事前にインターネット購入しておいたため、前売り価格の2,980円。
中目黒駅の改札にある受付でチケットとMAPをもらい、いざ飲食放浪の旅へ!
MAPはこんなかんじ。
あらかじめ店の名前も位置もわかっているし、入手したチケットで、その店がどんなメニューを提供してくれるかも明記されている。
ちなみに提供パターンは3種あり、
1)お好きなドリンク1杯と、その店が提供するバルタウンメニュー1品
2)ドリンク2杯(食べ物ナシ)
3)その店が提供するバルタウンスペシャルメニュー1品(ドリンクナシ)
に大別される。
いずれを選ぶも参加者の自由だが、3)は用意のない店が多かったので注意されたし。
また、バルタウン自体は15時~23時のイベントだが、店によって営業時間も異なるため、その点もMAPを見ながら確認しなければならない。
席数と合わせて、そのあたりの情報がしっかり掲載されているのはありがたい。
我々は17時前にスタートし、海鮮系に強そうな居酒屋「おらい」を訪問することにした。
どこかで飲むというとき、イチから店を検索するのは大変なことである。
心が弱く世の意見に惑わされやすい、そしてステマをピュアな瞳で見つめて信じる力を持つ私は、店情報を検索し始めたら最後、食べログやらなんやらのクチコミにすぐ惑わされるのだ。
サンプルの内訳も数も異なるのに、評価の星の数を比べちゃったりして、散々迷って「うーんここでいいか、星が0.3多いし」などと店に電話を入れたら、星大量のくせにあっさり予約が取れたりして、訝しみながら訪問すると、「ぎゃああ高いばっかで普通じゃん」てなことになったりするのである。
その点、店が既に選抜されていて
「ここから近いか、いま営業しているか、提供してくれるスペシャルメニューはおいしそうか」
ということに絞って悩めるのは、とてもラクだ。
■おらいオーライまた来たい
そして、記念すべき1軒目の「おらい」着。
駅から目黒銀座をずんずん歩き、5分程度だろうか。
16:58ごろに着いたので、店には準備中の札が下げられていた。
時報の如く17時ちょうどに戸をあけて「バルタウンで来たんですが」と告げれば、
「1時間くらいしかあいていないんですが・・・よろしいですか」
とのこと。
確かに店内はこじんまりとしており、MAPを確認してみると席数は16だった。
バルタウンに協力しているからといって、店は貸切状態なわけではないのだ。
さすが連休。一般客の予約でいっぱいなのだろう。
店めぐりもしたかったので1時間程度で問題ないし、それほどの人気店だとわかって逆に楽しみになる。
席に案内されるとともに、バルタウン用のメニューが渡された。
やはり海鮮・・・ということで刺身を頼むと、まもなくこんな感じでやって来た。
まぐろ、ひらめ、めぬき、わらさ。
まぐろ以外、もはやどれがどれかわからぬ。
わからないがうまい。全部うまい。
スーパーで買う刺身と違って、ツマまでしゃきしゃき。
ああ、うまい。
むしゃむしゃ食べてしまったが、考えてみれば、チケット1枚でこれだけのボリュームが提供されるというのはすごくないだろうか。
酒も1杯提供されるし、この手のイベントは料理がケチケチしているだろうという偏見があったのだが、見事覆された。
17時を過ぎて、我々のほかにも何組かバルタウンのお客さんが来店していたが、みんなが頼んでいるメニューはいずれもボリュームがあった。
店員さんも元気がよく、かつうるさくもなく、魚はうまくてケチくさくない。
次に中目黒で飲む機会があるならここに来たい。
・・・と思わせてくれるわけで、この店が流行っている理由も理解できる。
■肉がない
「おらい」は居心地がよかったが、せっかくなので別の店も訪れることに。
「牛すじの赤ワイン煮込み」が食べられるということで、MAP片手に、駅近くの「中目黒バール・デルソーレ」移動した。
バール・デルソーレ 中目黒店 - 中目黒/カフェ [食べログ]
そういえばこのMAP、2種類ある。
我々が手にしたのは黄色のものだが、緑色もあるのだ。
前者は声掛けOK、後者はNG。
受付でチケットとMAPをもらう際に説明を受けた。
「バル発祥の地・スペインではお酒を飲みながら“飲み仲間”を作る文化があるので、ぜひともここは黄色の“声掛けOK”MAPをお持ちいただいて・・・」
云々、とバイトのお兄ちゃんが一生懸命話してくれるのでそのまま受け入れることにしたのだ。
「おらい」ではこの黄色MAPを持つ客がちらほらいたように記憶しているのだが、互いに友だちと連れだって参加しているわけで、よほどのことがない限り話しかけるようには思えない。
私も当然ながら、話しかけなかった。
さて、ところ変わって「中目黒バール・デルソーレ」。
入店してお目当ての牛すじを頼むと、もう品切れてしまったので、代わりにシーザーサラダを提供しているとのこと。
話が違いすぎるではないか。
目には目を、歯には歯を、肉には肉を、とジュリアス・シーザーも言って・・・いたと思うぞ。
肉には野菜を!というウルトラCをかまされたので、プリプリしながら「自家製・田舎風パテ」をオーダー。
落ち着いて再度MAPを確認してみれば、先ほどの店とは異なり、ここは15時から営業開始していた。
イベントは15時スタートながらも、その時点で開いている店は、ここと、あと数軒もあるかどうか。
となると売り切れても仕方ないのだが、逃がした魚は大きいとはよく言ったものである。
魚じゃなくて、肉だけど。
テーブルに到着したのはこちら。
決して、皿がデカイわけではない。
私はバケットを頼んだのだろうか、パテを頼んだのだろうか、いや、ピクルスを頼んだのかもしれない。記憶が蘇らない。
ううん、逃した牛すじは、予定通りゲットしていても小さい獲物だったのかもしれぬ。
大食いゆえの不服さを抱えながら、白ワインとともに食べてみる。
「あ・・・うまいなあ」
いっそイマイチなお味ならよかったのに!
銘柄を控え忘れたがワインもうまい。
一般客もチラホラおり、ワイン片手にiMacな殿方もいらした。
ははあ、それがアリの店なのか。
パソコンしながら酒が飲みたい、とサイゼリヤに逃げ込んだ私の夜を返してほしくなる。
※よろしければ参照ください
ファミレスで過ごした夜の記録 (1) - 言いたいことやまやまです
この店にはこの店の良さを見出しつつも、次の店へ。
■そろそろここいらで甘味を
酒とつまみを楽しんで、なかなかよい気分になってきた。
甘味ガソリン注入の頃合いである。
ざっとMAPを確認すると、デザートメニューを提供している店は限られていた。
そのうちの1つは、デザートメニューがあるとともに、先ほどの店で逃してしまったメニューに限りなく近い「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」が。
問答無用で「LA PROVENCE CAFE」に向かった。
新しいお店と聞いたのだが、店内はほぼ満席。
滑り込めたのはラッキーだった。
例のメニューを頼み、到着を待つまでの間にバルタウンについて改めていろいろ確認していると、驚愕の事実があった。
以下、公式サイトより引用
街が『バルタウン』と化している時に突如現れる、
【バルタウンストリートサーカス団】。参加店舗でのお食事中に突然マジシャンが登場したり、店員さんが急に踊りだしたりと楽しみがいっぱい!
そしてお店を出たらそこには大道芸人や、音楽隊が!さらにバルーンアーティストや、似顔絵職人、パントマイム、占い師などのエンターテイナーが街のどこかに出現しています!
マジか。
これはいけない。遭遇したくない。手拍子打ったりするの、照れる。
目の前の店員さんは、いつ歌いだすのだだろうか・・・途端に楽しい時間が恐怖に変わった。
お手洗いにシロツメクサの冠をつくりに出かけたときも、マジシャンとやらが現れやしないかと周囲を確認したが、無事であった。
最近のネオ日本人はこういう文化に抵抗がないのだろうか。
婚活時においても、プロフィールカードの「苦手なこと」欄に「店でハッピーバースデーを歌われること」と書くほどなのだが、これがマジョリティではないのか。
・・・でも、そんなにジャポニズムを主張するなら、バルタウンなどというイベントに参加しては駄目だよな・・・。
勝手にソワソワしている間に
「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」「フレンチトーストマフィン」到着。
肉はいいなあ、魚も好きだなあ、フレンチトーストはマフィンじゃなくてよかったかもなあ。
ただし共通することはすべて「うまい」の一言!
■次回は新宿!
店を調べる手間が省け、メニューに悩む必要もなく、居心地が良ければ通常オーダーもすればいいし、もし気に入らなくても店の雰囲気を知ることができるよい機会。
3,000円である程度飲み食いできるというのもよい。
これ以上安いとチャチイ食べ物しか出てこないだろうし、高いと敬遠してしまう。
実はまったく別団体のバルイベントに参加したこともあり、システム自体はほぼ同じだったのだが、協力店のクオリティが全面的に低く、「二度とこんなイベント参加するもんか!」と憤っていたのだ。
正直なところ、この「バルタウン」への参加も少々不安であった。
しかし今回の協力店は、たまたま訪問した店がよかっただけなのかは定かではないが、いずれも興味を持てて、機会があったらまた来たいと思える店ばかりだった。
(とりわけ、「おらい」は行きたい!)
次回は新宿で、月末3日間の開催とのこと。
ご興味がおありの方は前売りチケットを買い求めてみてはどうだろうか。
東京都新宿から検索するグルメ、barのバルイベントのサイト/東京、横浜バル情報 - バルタウン
個人的には、6月上旬に開催される二子玉川編が気になっている。
さらにその後は7月の町田とか・・・。
なかなか飲む機会がない街の店を知ることができるよい機会となりそうである。