北京ダックはお好きだろうか。
私は好きだけど嫌いである。ダックの「皮」しか食べさせてくれないからだ。しかも、上記写真のように仰々しく「丸ダック」の姿を見せつけておいてから「皮しかあげないよ」という嫌味な攻撃が頭にくる。中身どうしたんだよオイ!無駄にワゴンに乗せてんじゃないよオイ!食べさせてよオイ!
……と思っていたら、「北京ダックは”皮を楽しむ”仕様になっているから、身はおいしくない」という話を聞いた。そんな勿体ない話があるかい、ええ?そういう食べ方をするのは、イチゴの先っちょしか食べないミスター(長嶋)だけでいいんだ!私のようなクソ庶民はまるごと食べたいんだ!なにが中国4000年の歴史だよ!!!
食文化への怒りをあらわにしていたところ、「北京ダックは中国の庶民料理でもあって、普通の家庭ではまるごと1羽食べるようですよ」との教えが。その証拠に、川崎に丸ごとダックをいただけるお店がある、ということでご紹介いただいたのが蒲田駅ほど近くにある中華料理店「川福楼(せんふくろう)」さん。
川福楼の北京ダックは「1羽 4,980円」
急な階段を乗り越えた2階にあるお店。
蒲田×急な階段ときたら
「酔って転げ落ちたら蒲田行進曲ごっこができますね」
言いたかっただけ。そして信じられるかい、私はあの作品を観たことがないんだ!
目的の「まるまる1羽食べられる北京ダック」は1羽4,980円。
毎度おなじみ「鴨皮」と「鴨もち(そういう名前だったんだ)」に加え、
- 鴨骨とビーフンスープ
- 鴨もも肉の香辛揚げ
- 鴨肉のオイスターソース
として解体されるようだ。このお手ごろさは、庶民の気持ちをわかってくれる蒲田という立地ゆえなのかなんなのか。
「あいつお高くとまりやがって」とボンボンのクラスメイトをいじめる性格の悪い庶民派生徒みたいな態度をずっと取り続けていたけれど、この日はじめて「あいつも意外と普通じゃん」と心開いた気分。やがて正反対の2人は唯一無二のバディとなり度重なる珍事件を解決していくのだ……(このくだり、記事の最後で回収することは一切ありません)
まずは顔合わせ。この大きな1羽がどのように展開されていくのでしょうか。
鴨皮&鴨もち
おお、見たことあるやつ。「これっぽっちかよ!身はどこいったんだよ!」といつも立腹させられるやつ。
油を吸うためなのか下に海老せんべいが敷かれていたのは初めてのことでした。でも海老せんも油で揚げているよなあ。
待ってました、鴨もち(12枚)!
従来型の北京ダックは、鴨皮などよりもこちらを楽しみにしてしまっている感がある。なんともいえない絶妙なもっちり具合に、ちょっぴり粉っぽい味。何巻いてもうまい。そのままでもうまい。
でも、北京ダック用のあの甘い味噌と千切りきゅうりとネギを巻くとなおうまい。鴨皮は、あってもなくても大丈夫だ!どうだ、これが私と北京ダックの犬猿の仲っぷりです。
鴨肉のオイスターソース……だったのか?
続いては「鴨肉のオイスターソース」のはずだったのだが、オイスター感は控え目だった。違う料理なのでは……。でも、庶民派中華料理店のこういうところが大好きだ。なによりニンニクの芽がたっぷりでおいしそう。それがいちばん。
感想は「ダイナミックチンジャオロースー」といった具合で、日本昔ばなし風ごはんが欲しくなるところ。中華料理で毎回それをやっているとキリがないので……
鴨もちでいきましょう。
具が大きすぎて、口の中で鴨もちと炒め物の食感と風味が水と油のように相反してしまい失敗であった。一緒に食べているのに、バラバラに食べているような感覚。クッ、何を巻いてもうまいと信用しきっていたのに、この裏切り!
北京ダック(鴨皮)はよく考えられた料理なのだと初めて悟る。
鴨もも肉の香辛揚げ……ぽいもの
その後、登場したのがこちら。甘酸っぱくない酢豚みたい。もも肉だからなのか、先ほどのお料理に比べてお肉がジューシーな気がした。
もちろん、巻いておきました。ちょっととろみのあるソースのほうが、鴨もちの良さを引き出せるみたい。
鴨骨とビーフンスープ
ビーフンが入っていた記憶がないのだが、「鴨骨とビーフンスープ」らしきものが最後に登場。 そしてこれが、写真で十分わかっていただけることと思うがめちゃくちゃうまい。お肉もたっぷり、スープもしょっぱすぎず美味!
北京ダック1羽まるまるいただいて、このお料理がいちばんおいしかった。もう、皮が霞んじゃうね!
お店情報
川福楼さんは麻婆豆腐が人気の四川料理中心の中華料理店のようだったので辛味にビビっていたけれど、一切辛い物がなくてよかった。ご家族でもお楽しみいただけるのでは。
3人でいただいて、大満足の味と量。これで4,980円はうれしいなあ。もう、高級な北京ダックを食べられないかもしれない。庶民派ダック、最高だ。
合わせるお酒、ビールもうまいが紹興酒もいい。蒲田の夜、大満喫でした。あいにく酔っぱらうほどはお酒を飲まなかったので、帰りの階段で蒲田行進曲ごっこには至らず。皆様もどうか足もとにはご注意ください。
- 店名:川福楼(せんふくろう)
- 住所: 東京都大田区蒲田5-8-9 リバーサイト2F(蒲田駅東口から徒歩3分)
- 電話番号: 050-5572-3482
- 営業時間:11:30~15:00/17:00~翌0:00(※不定休)
- ネット予約でき、クーポンもあります⇒川福楼 せんふくろう(中華)<ネット予約可> | ホットペッパーグルメ
※掲載している情報は訪問時のものです