今年の父の日は、回らない寿司なのにたった4,000円で食べ放題できてしまう「すし処 新田中」で、父への感謝を伝えるフェスタを開催。
店についての情報は、昨日の下記記事をご参照いただけたら幸いである。
本日は個人的な感想の巻。
■「すし処 新田中」の食べ放題は“寿司”ファンのためのもの
詳しくは前回の記事をご参照いただきたいが、「すし処 新田中」最大の魅力は「目の前で板前さんが握ってくれる寿司を、70分間4,000円で食べられる」点にある。
食べ放題であることに考慮してか、ひとつひとつのお寿司は小ぶりで、シャリが小さい分、ネタも小さくスライスされている。
シャリとネタが口の中で絶妙に絡み合い、一体化して、喉を通って胃に落ちる。
これこそ、「寿司」の醍醐味!
・・・と、頭では理解するのだが、私の本心は、その頭に追いついていくことができなかった。
・・・ネタが小さくて、
何食べているんだかわからん・・・!
「新田中」の寿司を食べ始めたときから、自分の中に眠るこの感覚には薄々気づいていた。
それでも見て見ぬふりをしておいしい寿司を食べていたのだが、「生穴子」を食べた瞬間、本当の自分を突きつけられたのである。
(どうしよう、もみじおろしの味しか感じられない・・・)
私が求めていたのは刺身としての「生穴子」であり、薬味とネタとシャリのハーモニーを堪能する「生穴子寿司」ではなかったのだ。
「寿司」を提供する「新田中」の食べ放題プランは、「刺身」好きの私にはマッチしていなかった・・・と、今になって思う。
■好きなのは「刺身」なのか「寿司」なのか
とにかく「刺身」が好きだ。
刺身と薬味のマリアージュにも惹かれるが、それ以上に、刺身そのものが好き。単体が好き。
生臭い感じも含めて大好きで、醤油をつけずに食べてしまうことだってある。
それを思うと、寿司に対する「好き」の気持ちは薄い。
寿司は嫌いではない、が、それは「刺身愛」の延長線上にあるというだけのことなのだ。
あくまでも、LOVE刺身。
刺身がいっぱい食べたい、となると、シャリというのはだんだん邪魔な存在になってくる。
シャリは何も悪いことをしていないのに、だ。
否、むしろ寿司が寿司であるためにナイスな仕事を果たしているではないか。
邪魔などと書き放った私の罪の重さは計り知れない。
もしも、そんな罪深い私の感覚に共感していただける方がいらっしゃるのであれば、こう伝えたい。
「新田中」に行ったら、食べ放題ではなく通常のランチコースを注文するように、と。
至極当然のことながら、食べ放題はあくまで「寿司」のみであり、刺身ほか、つまみ系のメニューは含まれていないからだ。
■シャリとの戦い
実は、5貫目くらいから「これはしまった、シャリがいらなくなってきた」という感覚があった。
シャリが要らない場合の選択肢は、ガリOR玉子焼きのみ。
ただひたすらに、ガリを消費した。
セルフ式ではないため、ガリが私の寿司下駄から姿を消すと、板前さんが新たなガリ山を持ってきてくれる。
幾度となくこの山を崩し、再建してもらい、崩し、再建し、崩した。
あまりにも繰り返したので、寿司下駄はガリの汁でだいぶ潤ってしまった。
※寿司下駄がガリ汁でキラキラ
共に写っている玉子焼きも、もちろん大活躍。
ひとり占めするべく「玉子焼き2つください」と板前さんに告げたところ、彼は気を利かせて、私と父にひとつずつ持ってきてくれた。
父は喜んでくれた。
私の、玉子が・・・。
でも大丈夫、なんといっても今日は食べ放題。
何度だって頼めばよいのだ。
目の前に残された私の玉子焼きを頬張ると、ほどよい甘さでとてもおいしかった。
そこで、10分に1つのペースで、2回、玉子焼きを頼んだ。
最後の最後は我慢ができずに「玉子焼き2つ」と頼んでしまったが、板前さんは父を意識することなく、2つとも私の寿司下駄に乗せてくれたのだった。
想いは通じる。
■コストパフォーマンスを考える
結局、70分間の食べ放題で、私は15貫前後の寿司を食べた。
そのうちの5貫は玉子焼きだ。
そう考えると
食べ放題が4000円弱であるのに対し、ランチコースの「1.5人前」は握り15貫で1200円。
1.5人前ランチにしておくべきだったのだ。
しかも、食べ放題コースだとお目にかかることのできない、茶わん蒸しまでついてくるというではないか。
次回は必ず、絶対、ランチコースを選ばなければ。
コストの点で気になったのは「お酒」。
せっかくなので日本酒を父と酌み交わしたかったのだが、
意外と、高い。
ケチな我々は瓶ビールを仲良く分けて、あがりでその場をしのいだのだった。
食べ放題と聞くとなんでも興味が湧いてしまうのだが、そうはいっても相性というのがあるのだな、と思い知らされた日であった。