6月15日は「父の日」。
「一家の大黒柱」という表現はもう死語なのだろうか。
大々的なイベントである「母の日」とは対照的に、今年もひっそりとその日は終わっていった。
近くの父以上に、画面の中で活躍するドログバ&ヤヤ・トゥーレを注視して、終わっていったのだ。
とても、切ない。
せめて私は、という想いで今年は父にランチをご馳走することにした。
■父の日、寿司の日、セッティング
「腹いっぱい、寿司が食べたいなあ」
いつだったか、父がそう言っていたことを思い出し、東急東横線・都立大学駅近くにある「回らない寿司食べ放題の店」に連れ出すことを決めた。
還暦を迎えた父に「小僧寿し」というわけにはいかない。
念のため予約の電話をすると、受話器の先で店員の女性から
「ランチコースにしますか、食べ放題にしますか」
と問われ、絶句した。
自室からの電話ではなかったため、「食べ放題で」と発声することが、ちょっと恥ずかしい。
困りながら
「ええ~と、“後者”で」
と返答。
「・・・コウシャ?・・・こうしゃ、後者、あ、食べ放題ですね」
察していただき、チンケな私のプライドが保たれたのだった。
■東横線・都立大学駅から徒歩10分!地元のお客さんでいっぱい
「すし処 新田中」は駅から少し距離がある。
都立大学駅の改札前で父と待ち合わせ、いざ出発。
改札を出たら、このみずほ銀行を目印にするとよい。
ここからひたすらに、道路沿いを歩いていく。
Googleマップを手元でぐるんぐるん回す必要のない、わかりやすい道順なのでご安心を。
途中にセブンイレブンや100円ローソンなどがある。
ただ、ただ、まっすぐに歩いていく。
緩やかなカーブと上り坂をズンズン進んでいくと、「すし処 新田中」に遭遇。
早速、店内へ。
店内はL字型のカウンター席のみ。
その中で、2名の板前さんがせっせと寿司を握っていた。
席数は全部で12~13席くらいだっただろうか。
常に女性店員さんが客席後ろを行ったり来たりしていることもあり、かなり狭い印象を受けた。
正午ごろにお邪魔したが既に満席で、決死の想いで予約した自分を褒めてやりたくなる。
カウンターに並ぶのは女子会3人組、父と息子の2人組、ハイソ系マダム、常連と思われるおじいさん1人、といったメンバーで、みんな勝手知ったる様子で寿司を食べていた。
完全なる一見さんである父と私は、ソワソワしながらカウンターに着席。
きれいな木のカウンターと寿司下駄が、我々を迎えてくれた。
店員さんに改めて注文を尋ねられたので、食べ放題コース希望の旨を告げるとともに、瓶のラガービールを頼んだ。
食べ放題は男女子どもで料金が若干異なっており、時間制限は70分。
短いと思ったのだが、寿司ばっかり70分も食べつづけられまい。
しばし待っていると、ビールと、突出しの「アワビの肝」が現れた。
いつもありがとう、で乾杯。
それにしてもこのグラス、大変素敵なのだが、中が見えないのと背丈が小さいのとで、注いでいる際にビールと泡のバランスが全く分からない。
かわいそうに、父は私が注いだ泡まみれの1杯目を飲んだようであった。
・・・自分、不器用ですから・・・。
■寿司食べ放題、限界への挑戦・・・?
最初の握りとして、トロと漬けまぐろが2貫ずつ、寿司下駄の上に並べられた。
※空腹に負けて、撮影前に3貫食べてしまった
「いま、私、カウンターで、寿司!」という感動も相まって、とてもおいしく感じる。
全体的に小ぶりな握りなので、ハイペースで食べ進めてしまいそうだ。
さて、次は何を頼もうか。
この中からどれでも、注文することができる。
店内には、このおしながきには書かれていないネタも「旬のネタ」として掲げられていた。
こんなにも選択肢が豊富だと悩んでしまうが、まずは、前評判で「海老が旨い」と聞いていた車海老をオーダー。
たくさんの種類を食べたかったこともあり、1貫ずつ握ってもらうことにした。
程なくして現れた車海老。
カウンターのなかにある水槽から取り出されたものである。
隣のお客さんも注文していたが、尾がまだ少し動いていて怖い(人はそれを“活きがよい”と言うのだ)。
食べてみると、プリプリでおいしい!
父は煮穴子を注文。
たれ、塩の2種類を握ってくれた。
なるほど、ネタによっては2種類がデフォルト設定されている場合もあるようだ。
その象徴的なメニューは「いか」だった。
「いかを1つ」と頼むと、
このように、3種登場する。(手前の仲間外れは”たいら貝”)
おしながきには「いか」としか書いていないのになあ、と店の壁に目をやれば、その日のおすすめが「イカ3種盛」だったのだ。
アオリイカ、スミイカ、アカイカのトリオなのだが、どれが何者だったかを失念してしまった。
予め塩が振りかけられており、まろやかでおいしい。
父は穴子とイカがたいそうお気に召したようで、それぞれ、2回、3回の再注文をしていた。
「3点盛り」にライバル心を燃やし、こちらは青柳、つぶ貝、たいら貝のシェルトリオで応戦し、
煮穴子に対抗して生穴子なるものを注文した。
もみじおろしが乗った、穴子。
甘くない味付けで食べるのは初めてかもしれない。
デザート代わりの卵焼きも合わせて頼み、口の中をしょっぱいと甘いが行き来する。
この口内スクランブル交差点感、たまらない。
軍艦巻きや手巻き寿司も、野菜握りなど、バリエーションは本当に多種多様。
たった2人の板前さんが、カウンターにずらりと並ぶ客のオーダーを忘れずに、的確に握っていく様はやはりすごい。
※軍艦巻きは、白子と、かにみそを食べた
入店から30分くらい経つと、あら汁が登場。
魚がごろっと入っており、とてもうれしい。
さらに時間が経過し、入店から1時間くらいのタイミングでデザートの西瓜が登場。
要は「あと10分だよ」の合図であり、ラストスパートをかけるとしたらここである。
とはいえ、70分きっかりでアラームが鳴ったり、出て行けと促されたりすることはないようなので、ゆっくり最後まで楽しむことができる。
私たちは70分ちょうどくらいでおなかが満足し、退店した。
父も喜んでくれたようでなにより。
ワールドカップも大事だけれど、近くの父への感謝もお忘れなきよう!
明日は個人的な感想を日記としてまとめます。
(何貫食べたのかも大発表!)
★お店はこちら
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