7月のアタマに福岡・熊本に行ってきたのですが、太宰府天満宮にも立ち寄ってきました。人生初です。「頭がよくなる神社」くらいの雑な認識で30年生きてきてしまいましたが、ご存知、菅原道真公をお祀りしている神社です。
平日に行ったこともあり、海外からの観光客の方が大半を占めておりました。七夕が近かったので、飾り付けもきれいでした。
この牛、たぶん私の旅の中でベストショットだと思います。
道真公の亡骸を牛に乗せて運ぼうとしたものの、牛がその場で動かなくなり、「これは道真公の御心によるものだろう」と太宰府で祀られることになったのだそうです。そんな牛です。
敷地内でのドローンは禁止ですよ。
「包丁塚」なんてものもありました。
「西日本鮨調理研究福寿会」というところが昭和47年に建立したもので、調理師さんたちが使い古した包丁を納め、調理した鳥、獣、魚菜の霊を慰めています。ほんと、おいしいものがいただけるのは数々の生命のおかげです。食を愛する者の1人として、感謝の念を伝えてきたつもりです。
梅が枝餅がおいしかった
太宰府天満宮の名物といえば「梅が枝餅(うめがえもち)」です。神社の前の参道はもちろん、神社の敷地内にもたくさんのお茶屋さんがあり、必ず梅が枝餅が売られていました。しかも絶対120円。
存在自体を初めて知りまして、ひとまず「餅」を想像していたもので、同行者の「皮がパリッとしててあんこが入っててね」という説明はなぞなぞとしか思えませんでした。
しかし実際に対面した梅が枝餅は
なるほど、皮はパリッとしてます。「あんこ入りおやき」だ。こんなん絶対おいしいに決まってる。やっぱり福岡の人はおいしさに貪欲なのだなあ。感動します。
何ゆえ「梅が枝餅」という名なのかというと、「太宰府に流され軟禁状態だった道真公に近くの老婆が餅を梅の枝の先に刺して格子の隙間から差し入れたという伝説に由来しています。」とのこと。(※「メシ通」さんの記事より引用させていただきました:福岡県民の大好きな梅ヶ枝餅を3倍美味しく食べる!?梅ヶ枝餅トリビア - メシ通)
では早速いただきます。
うまい。予想通りうまい。
シンプルであるがゆえ、お店によって食感や甘さなどに差が出るようです。「あっちの店のほうがおいしかった」などという感想も聞こえましたが、私はこの梅が枝餅が本当においしかった。
「これ、あんこじゃなくて高菜とか入れたいですねえ」と意見してみたら「それはもう”おやき”そのものだよね」という至極まっとうなご指摘をいただきました。
いや、でも、例の老婆はあんこ以外も振る舞っていたかもしれないぞ!もしかしたら月曜日はあんこ、火曜日は高菜、水曜日は味噌…みたいなかんじで日替わりだったやもしれん。
海軍がカレーを食べて「あ、今日金曜日なんだ」と知るように(※海上勤務時は曜日感覚がなくなるため、金曜にカレーを食べるのだと聞きました)、道真公だって「あ、今日高菜だから火曜日かあ」って思っていたかもしれない。
…すみません、黙って食べます。
梅が枝餅よりもすごいものがあった
実は、太宰府天満宮訪問における最大のトピックスは、梅が枝餅ではありませんでした。餅目当てでふらりと入ったお茶屋さんがもう、強烈で。
梅が枝餅といっしょに、お昼ご飯も兼ねてうどんとそばをオーダー。私はうどんをいただくことにしました。九州のうどんは柔らかいと聞きますので、それを食べてみたかったんです。
うどんをすすって、咀嚼して、「ははあ、やっぱりちょっとやわらかいんですね」と感想を述べたら、「いや…これ、普通のうどんだね…」との回答。単なるゆで時間長めのうどんでした。
いいんです、うどんはいいんです。そんなこともありますよ。すごかったのは、そばです。ざるそば。せいろの上にめいっぱい盛られたそばは、明らかに何かが変。あまり時間をかけることなく「アハ体験」できたのですが、違和感はここ。
そばが、丸い。
そばは「打つ」ものです。包丁でタンタンと細かく切っていくわけですから、断面は四角くなくちゃおかしい。
丸いってことは…パスタメーカーでつくっているのか!?
まさかこのお茶屋さんでつくっているということはないでしょうから、そばメーカーさんのことが気になってたまりません。工場見学に行きたい。
ひとくちいただいてみましたが、まあなんとも、実に、「粉」なかんじでした。ざるそばをまずいと思ったのは初めてです。
みんなで顔をしかめていると、うしろの席から「天ざる大盛で2つ!」というカップルの声が聞こえてきまして、あとちょっとで「悪いことは言わん、二人の仲を睦まじいものにしたいならやめておきなさい」と声をかけてしまうところでしたね。自分の中で最大の儀礼的無関心を発揮して、声かけませんでしたが。
案の定、差し出された天ざるに「うわあ(苦笑)」という声をあげていたカップル。されどしっかり完食する姿、輝いていました。二人に幸あれ。
東京に帰ってきたいま、梅が枝餅以上にあの丸蕎麦が恋しくなっている今日この頃です。