先日、銀座で飲んだ。
東銀座近辺だったということもあり、帰り道を迂回し、5月を以て創業32周年を迎えた「喫茶アメリカン」に立ち寄った。
超・極厚サンドイッチがいただける「伝説のサンドイッチ店」として有名だ。
平日、朝7時半からパンが売り切れるまで(だいたい15時ごろ)の間しか営業していないのだから、当然、お店周辺は真っ暗。
それでもわざわざ赴いたのは、糖質制限を始めてしまったという事情で、お店に伺う機会がめっきり減ってしまったから。
※糖質制限についてはこちらをどうぞ
「なかなか来られないけれど、変わらずいつも応援しています」という気持ちを伝えたく、「拝み」に来たようなものである。
そして、最新の「店主さんのお手紙」が読めるのではないかという期待もあった。
※「お手紙」とは、これです(今年5月)
暗く静まり返った「アメリカン」の前に立った私は、絶句した。
(・・・なんだこれは・・・!)
「お手紙」以上の収穫があったのだ。
どうかお店のファンの皆さま、落ち着いて、この事実を受け止めていただきますよう。
なんと、
なんと、
ビーフシチューセットのキャンペーンが、6月から再開!!!
昨年の12月、価格改訂&メニュー見直しがあったアメリカンさん。
それまでの間、ビーフシチューセットは年中無休で値引きキャンペーンを展開していたのだ。
※過去のキャンペーン事例。1300円という正価は、あってないようなもの・・・
ケンちゃんラーメンがいつまでたっても新発売であるが如く、ビーフシチューセットは、いついかなるときも1100円だった。
しかし昨年12月の「アメリカン大改革」を境に、ビーフシチューは1200円になってしまった。
(正価は1300円だったのだから、厳密には値下げ)
それが、32周年を迎えた今、再び、キャンペーン再開!
過去の1100円よりもお手頃な1000円とは、胸がアツくなることこの上なし。
32周年を迎えたのは5月なんじゃなかったっけ、なんてことはどうでもいい。
これはキャンペーン初日である6月1日、アメリカンさんにお邪魔しなくては!
出血大サービスっぷりを目の当たりにしなければ、気が収まらない・・・。
深夜の東銀座、ひとり興奮しながら視線をずらすと、またしても胸がアツくなるニュースが!
念願の「店主さんのお手紙(おNEW!)」があったのだ。
私の御託などどうでもいい。
とにかくこちらのお手紙をじっくりとお読みいただきたい。
あの、WBS!
ワールドビジネスサテライト!!
各企業の広報担当者が、この番組に取り上げていただくことを心から望んでいるのだ!
すごい!理由がよくわからないがすごい!!!
固い番組の中で何で当店が出るのかはよくわかりませんが (中略) 少し期待して見て下さい。
テンションが高くなさそうに見えて、結構うれしいんじゃないかと思わせる店主さんのお手紙も最高だ。
銀座の東でアメリカンさんへの愛をさけぶ!
帰宅後、6月5日のテレビ東京「WBS」を録画予約をしたことは言うまでもない。
■キャンペーン初日にお邪魔しました
そして迎えた「開店32周年記念大サービス」初日。
糖質制限は引き続き実践中だが、めでたいキャンペーン再開の日、そんなつまらないことは言っていられない。
12時半ごろに訪れたところ、まだいくつかの空席があった。
案内されるままに着席し、早々に「ビーフシチューセット」をオーダー。
面倒くさがられるかなと思いつつ、「サラダのドレッシングを抜いてください」というひと言も忘れなかった。
快くご対応いただき、1~2分後にはプレートが登場。
※ビーフシチューセット「開店32周年記念大サービス」により、1000円
この日はまだフランスパンの在庫がたくさんあったのか、食パンにはありつけず。
少々残念だったものの、久々にボウルいっぱいに詰め込まれたレタスと、その上に乗せられたサラダが「タマゴ」であることの喜びが上回った。
ランダムにツナサラダ、ポテトサラダ、マカロニサラダ、タマゴサラダのいずれかが乗せられるなか、本命のタマゴがいただけるとは!!
無我夢中でいただいたタマゴサラダは、やっぱりおいしかった。
すっぱくなくて、タマゴがめいっぱい入っていて、白身のごろごろ感も楽しい。
タマゴサラダにありつけただけでも、アメリカンさんに来た甲斐がある。大いにある。
気が付けば、ボウルにはレタスばかりが残ってしまった。
ビーフシチューも、いつものことながら具が大きく、甘みがあり、本当においしい。
しっかりと「食べた」という実感が抱けるボリュームがうれしいのだ。
じゃがいも、にんじんは糖質野菜だが、そんなことはお構いなしで食べ進める。
若干モソっとした牛肉もまた、いい。
味が濃い目ということもあり、口の中にレタスを放り込んだのち、シチューをすすると相性抜群。
本当はレタスをシチューにぶち込んでしまいたかったが(それは確実においしいという大きな自信があるが)、周囲の食欲低迷を防ぐためにもグッと我慢。
人もシチューも、見た目が9割。
自らの口の中でのミクスチャーに留めたが、それでも幸福感いっぱいだった。
最後の最後、お皿に残ったビーフシチューをフランスパンで拭って、ごちそうさま。
※フランスパンは一切れだけいただきました
残るパンは自宅に持ち帰るべく、専用ビニール袋をいただいた。
しかしこの糖質のかたまり、どうすべきかな・・・。
■アメリカンの空気に浸る
お店に着いた12時半の時点では空席があったものの、13時をまわろうかというころには、空席待ちの列がお店の外にまで。
小心者の私は、目の前で待機されている方がいるなか、物思いにふけりながらエレガントにランチタイムを送る勇気は湧かなかった。
「早く食べきらなくては、早く退かなくては、本でも読もうものなら殴られる・・・!」
そんな被害妄想と焦燥感にかられ、食後のコーヒーをぐいぐいと飲み干す。
奥の厨房からは、店主さんの檄が飛んでいる。
「あちらのお客さん、通路に荷物が出ていて危ないから、隣の椅子に置いていただいて!」
そんな声が筒抜け。
ステージの舞台裏に居合わせてしまったような、ちょっと、ばつの悪い気持ち。
私が「あちらのお客さん」だったら赤面しているだろう。
アメリカンさんのことは大好きで仕方がないが、いわゆる居心地のいいお店、ではない。
暗黙の「流儀」が随所にあり、反するとお店の皆さんに受け入れてもらえない感じがある。
この「流儀」に理解が示せなければ、ものすごく居心地の悪い空間である、とも思う。
「郷に入っては郷に従え」と言うが、アメリカンさんを訪れるからには、どっぷりとこの空気に浸らせてもらった方が楽しい。
居心地がいいわけではないのに、ましてや糖質制限中であるのに、それでも足を運んでしまうのは、ひとえにお店のすさまじいパワーによる、独特な引力に惹かれるからだ。
ただひたすらに、ゴーイング・マイ・ウェイ。
いや、アメリカンなだけにゴーイング・米(マイ)・ウェイか・・・いや、でも米じゃなくパンだから・・・というのはさておき、このムードは一度ぜひ体感いただきたいもの。
食パンのもっちりフワフワっぷり、タマゴサラダのしっかりとした味わい、ビーフシチューのあたたかさ、いずれも最高においしいが、「おいしさ」だけなら名店に行けば堪能することができる。
アメリカンさんでしか味わえない、「俺流」を貫く空気に、得体のしれないパワーを感じるのだ。
「お客様は神様」というお店が多数あるなか、たまにこの雰囲気に触れたくなる。
なにはともあれ、今週金曜23時30分は、ワールドビジネスサテライトを視聴しなければ。
皆さんもよろしければ、ぜひ!
※今週のお題「私がアツくなる瞬間」
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