こんばんは、二郎の時間です。
人生ではじめての「ラーメン二郎」を体験しました。ビギナーにもおすすめだという新宿小滝橋通り店に連れて行ってもらったのです。こちらのお店であれば連れあっての入店も受け入れてくれるとのこと、和やかなムードでお店も広く、おいしいのだとか。
二郎は「こわいところ」なんでしょう?
三田店はああだ、目黒店はこうだ、そんな話は私にとって階層が深すぎるのです。そのお店が二郎か否か、それが問題なのです。
なにせ初めてですから、この小滝橋通り店での体験がそのまま私にとっての「二郎像」となってしまう。私は果たして二郎さんファンになるのか?
小滝橋通り店さんにすべてがかかっています。
そもそも私はラーメン店に行く機会がほぼありません……って、あっ、痛い!二郎は二郎であってラーメン店ではないと言って叩く透明人間が隣りにいる!すみません!わかってない奴が二郎さんのことを軽々しく口にしたりして、すみません!
……私にとって二郎とはそういう存在です。軽々しく口にしてはならないもの。にわかサッカーファンどころの騒ぎではありません。
「マシマシ」なんて口走ろうものなら、おまえにはその呪文を唱える資格などないと地獄の業火に燃やされてモヤシまみれにされるのでしょう。
なので非常に恐くもありました。いくら穏やかな店舗さんであっても最低限のルールはあるはずだし、お客さんが優しいかどうかは知るよしもありません。
新宿小滝橋通り店へ
平日19時ごろにお店の前に到着すると、扉の前にうっすらと人影。やはり並ぶのです。
しかし広い店舗とあって、店内で待機することができました。多くの場合は外まで列ができているようですから、ラッキーでした。
厨房を変形コの字で取り囲むカウンター席と、奥の方にテーブル席。
厳しい店舗は(というかラーメン屋さん全体に対してそういうイメージがあるのだけど)連れ合いと来ていようがなんだろうが、空いたところから着席させるスタイルだと聞きました。
しかし小滝橋店は穏やかです。連れ合い同士が隣り合わせになるように調整してくれます。それによって待機時間が長くなる可能性もありますが、二郎ビギナーとしては、待ち時間が長くなったとしても連れたちといっしょに食べたかったのです。
さて、列に並んでいるうちに第一関門「食券購入」も済ませねばなりません。
自販機のボタンに刻まれていたメニュー名は、ラーメン、ぶた入りラーメン、つけ麺……それしか記憶がありません。
ビールが飲める貴重な店舗だと聞いていたのですが、そのボタンを探す余裕もありませんでした。トッピングの煮卵の位置すら把握できなかった。食券自販機の前に立った瞬間、焦燥感の神の申し子となったのです。
ここでウダウダしていたら舌打ちされるに違いない。素人はこれだからなあ!とか後ろからヤジを飛ばされるのです。
私の前に購入する人の姿をじっと見て、所作を盗んで何食わぬ顔でボタンを押すつもりだったのに(これをお焼香スタイルと呼んでいる)!なにせぎっちりとコンパクトに並んでいたものだから、前の人の姿なぞ背中しか見えないのです。ボタンに何が書いてあるかなんて読めませんでした。
ビギナーは欲を出したら負けです。ここは「今日から門下生見習いとなりました」という謙虚な気持ちが必要です。「自分、まだまだですから」を体現せねばなりません。
すなわち基本メニューを頼むべき。基本の「ラーメン」の券を購入しました。
食券機のすぐそばにはティッシュがあり、諸先輩方はここからティッシュを2,3枚ひきぬいているようでした。そのあたりも「所作」なのかと思ったのですが、ハンドタオルやティッシュは持参していましたので、ここは真似せず、ノーティッシュの道を選ぶことに。
並んでいるあいだに、厨房のスタッフさんに食券を出します。
「……麺の量を!大変恐縮ですが少なくできますか!」
規定量を食べきれないとは何事か!
そんなお叱りがどこからか飛んでくるのではないかと不安で、でも残すのは失礼だと思って、葛藤を経たうえでかなり勇気を振り絞ってお尋ねしました。声のボリューム調整が妙なことになって恥ずかしい限りでした。
「”少なめ”か”半分”にできますよ」
そんなことができるの!?なんということでしょう!感激とともに私は「半分で」とお願いしました。
「少なめ」というのは本当にふわっとした表現で、十人十色の「少なめ」があるのです。この言葉を信用してはなりません。一種のギャンブルとして楽しむものです。
対して「半分」というのは大変明快であります。疑いようもありません。この選択肢を用意してくださるとは……お気遣い、いたみいります。
「トッピングは?」
感動したのもつかの間、次なる質問に返す言葉が出てこなくなり固まりました。なにせ、例の「マシマシのくだり」です。下手に言ってはどこからか矢が放たれます。私は生きて帰りたい。
「な、な、なくていいです!」
スタッフさんは「ハイ、わかりました」と、いたってスムーズな対応でした。私は無事に関門をくぐり抜けたのです
……と、安心していいのだろうか?これで本当に合っているのだろうか?
「なくていいです」というのはマシマシ対象のニンニク・アブラ・野菜に対しての不要宣言であったが、よもや「具はなにもなくていいです」という意味にとられていやしまいか。
二郎の豚肉はウマイと聞いていたのです。それもなく、ただ麺だけがスープのなかで鎮座しているようなどんぶりがでてきてしまったらどうしよう。
むしろツウっぽくなるだろうか。でも豚肉は食べたい。しかしそれを確認するような時間は、もう、ない……
そうこうしている間に着席です。私の目の前では大きな寸胴鍋で脂をめいっぱい使ったスープがぐつぐつと煮込まれている様子が見えました。
厨房には3名。どなたも華奢です。そして非常に和やかで、作業の合間にチラッと交わされる言葉がやさしい。怒号が飛び交う修行小屋のような場所だと思っていたのに、面食らってしまいます。ときに笑い合ったりして、さながら「男子の部活」。
これはとてもうれしいことでした。切磋琢磨される姿は格好いいと思いますが、お叱りの声を聞きながらの食事というのはとてもつらいのです。自分が怒られているような気持ちになって、食が喉を通りにくくなる。
この穏やかなムードであれば!麺半分であれば!きっと私は完食する!このとき勝利を確信しました。あとは「基本の具」が盛られていることを祈るばかりです。
ラーメン(麺半分・トッピング無し)降臨
よかった!!!!!
お肉ある!!!!!
分厚く柔らかなチャーシュー。これは絶対にうまい。
口に含めばほろりと崩れていきます。超おいしい。二郎に心を開きかけている自分を感じました。
しかし難敵は、ボリュームのあるスープと麺です。
麺に対する前知識はなかったのですが、これほどまでに太いとは。ちょっとした稲庭うどんです。
そしてデフォルトでお出汁のような色をしているのが特徴なのですね。コシのある麺、非常においしかったです。どんどん食べ進められました。
隣の方が召し上がっていた超特大のつけ麺も気になるのなんの。つけ汁は熱いようで、鼻をすすりながら麺をすする事態になっていました。
彼の手元にはティッシュペーパー。あっ、あれは自販機のところにあったものでは……!こうなるとティッシュは大切な資源です。無駄づかいすることはできません。二郎ファンの方のサバイバル力を見た気がします。
スープも思っていたよりずっとおいしい。いや、ちゃんとおいしい。
さすがにしょっぱいので飲み干すということはできませんでしたが、このタイミングでモヤシをもらえていれば、スープもたっぷり飲むことができてしまったかもしれない。
いずれにしても私は「大変おいしゅうございました」という感想とともに「ラーメン(麺半分・トッピング無し)」を完食したのでした。
胃がもたれることもなく、ほどよい満腹感での退店。「二郎=うまい」の方程式が私に宿ったのです!
なかば無理してめいっぱい食べるのも楽しいのでしょうが、身の丈にあった量を堪能するという楽しみ方ももっと広まってほしい。前者がジロリアンなら後者はチロリアンでどうだ。
チャーシューをおかわりしたかったので、次は「ぶた入りラーメン(麺半分)」をいただこうと思います。本当に本当に本当においしかった。小滝橋通り店さんありがとう!!
▼チロリアンといえば(九州ならおなじみ)
お店情報
店名:ラーメン二郎 新宿小滝橋通り店
住所:東京都新宿区西新宿7-5-5 1F
営業時間:[月~土]11:00~23:00 [日・祝]11:00~22:00
※月曜が祝日の場合は日曜も23:00まで
※上記情報は食べログページより引用しています
ラーメン二郎 新宿小滝橋通り店 - 新宿/ラーメン [食べログ]
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