6月7日(水)に東京・京橋にある明治屋ホールで開催された「日本かき氷協会×明治屋 京橋かき氷コレクション」にご招待いただいた。
かつて糖質制限ファイターだったこともあり、正直なところかき氷への関心は薄かった。「氷」と書こうとすると「永」になってしまうレベル。
最近の高いやつは特に、である。1杯1,000円って何だよ!水なのに!富士山のペットボトルかよ!くらいに思っていた(かき氷ファンの皆さま、お許しください。このあと私は変わります)。
目次
「日本かき氷協会×明治屋 京橋かき氷コレクション」は、日本の伝統ある食文化「かき氷」の素晴らしさをより広げることを目的とした「一般社団法人日本かき氷協会」と、かき氷シロップでお馴染みの明治屋さんとのコラボレーション企画。明治屋さんが新商品としてパウチ型の贅沢シロップ「マイシロップパウチ 味わうシリーズ」を発売したことを記念に開催されたものだ。
イベントの参加費用は1,500円(税込)で、明治屋さんの新シロップでいただくかき氷1杯と、専門店のかき氷2杯、さらに有料でおかわりもできる。最低でも3杯のかき氷を食べるのだ。そんなにたくさん食べるのは、人生初。
明治屋さんのシロップといえば、イチゴにメロンにブルーハワイ。ブルーだけどハワイ。幼き日のトキメキは明治屋さんが教えてくれたのだ…家でシャッコシャッコとかき氷マシンを回していた日々も、今は昔…。
※もともとは水やソーダで割って飲む希釈飲料として発売していたそう。冷蔵庫の普及とともにかき氷ブームが起こったことで、かき氷シロップとして発売することになったのだとか
おいしいフワフワかき氷は、自宅でも楽しめる!?
左から、全国各地のかき氷を年間 1,600 杯以上食べ歩く、一般社団法人日本かき氷協会代表の小池 隆介さん、製氷のプロである全国氷雪販売業生活衛生同業組合連合会の町田 和之さん。明治屋広報の邊見さんの進行のもと、”氷”を切り口にした「おいしいかき氷」のトークが行われた。
ちなみにこの日のチケットは完売。多くの方が熱心に話に聞き入り、メモを取る方も少なくなかったことにひそかに圧倒されてしまった。かき氷ムーブメントすごいな…。
「グルメかき氷」の特徴とは
フルーツがふんだんに使われた、創意工夫が凝らされたシロップも特徴のひとつなれど、高級かき氷といえば「ふわふわの氷」。
「天然氷で作るかき氷は、頭がキーンとならない」
「天然氷だからふわふわのかき氷ができる」
そんな「天然氷信仰」がまことしやかに語られていた時代もあったそうだが、これは誤解。ガリガリとフワフワの違いは「氷の削り方」で出てくるものだそうだ。
(ちなみに「頭がキーン」問題は神経の反応によるもののようなので、天然氷だろうとそうじゃなかろうと、関係なさそうです。※参考:第26回 かき氷を食べると頭がキーン! | 医教コミュニティ つぼみクラブ)
冷凍庫から出したばかりの氷はとても固く、このまま削ると氷削機の歯が滑ってしまい、ふわっとした氷にならないのだとか。カチカチのゲレンデをスキーで滑った思い出が蘇る…ガリガリ音の恐怖、忘れない。それはさておき、ふんわりさせたいならば「氷を緩ませる」のがポイント。一般的には「表面の霜が溶けて、曇っていた氷が透明になってきた状態がベスト」だと言われているそうだ。こうすることで、鰹節削りの要領で薄い氷を削りだすことができる。
また、天然氷は難しくても、ちょっとした工夫で水道水でもきれいな氷ができるそうだ。
水道水でもできる!氷づくり
1)煮沸する
ミネラルやカルキをとばし、軟水状態に。
2)高い温度で凍らせる
じっくりと凍らせることで、水の中にある水分子以外のものをはじき出すことができるのだとか。通常の冷凍スピードだと、その作用が効く前に凍ってしまうそうだ。
水を入れたケースをそのまま冷凍庫に置くのではなく、割りばしなどを敷いてケースを浮かせるというコツを教わった。冷凍庫に直接触れさせなければ、凍るスピードが落ちるということか!さらにケースを緩衝材などで覆うとよいとのこと。
ちなみに町の氷屋さんでも一般家庭向けに氷を販売してくれるそう。お店によって異なると思うので、ご注意ください。
自宅でふわふわ氷を削り出す!おすすめマシン
かき氷協会代表の小池さんによる、家でもふわふわの氷をつくることができるオススメかき氷マシンが会場に展示されていた。
池永鉄工さんの「スワン ミニ手動式氷削機 小さな南極 DX」 はかなり本格的。左側の白いタイプはAmazonで確認したら4万円超え…。
ひとつ前の写真に写っている4機のうち、左端の背が高いマシンは中部コーポレーションさんの「アイスロボ 初雪」。右端のコンパクトなマシンは貝印さんの「Kai House 本格かき氷器」。本気でかき氷に向き合いたい方は、ぜひ検索および購入の検討を。
いよいよかき氷タイム!
明治屋さんの新シロップをかけたもの、そして埼玉の喫茶店「クラフトカフェ」さん、沖縄のかき氷専門店「かんな 沖縄店」さんのかき氷、合計3種をいただくことに。
1)明治屋「マイシロップパウチ 味わうシリーズ」
1杯目はビンのかき氷シロップでおなじみ明治屋さんの新作、「マイシロップパウチ 味わうシリーズ」をかけたかき氷。シリーズ4種のうち、この日は「とちおとめを味わう」「九州のゆずを味わう」が振る舞われた。
かき氷協会代表・小池さんがおすすめされていたかき氷マシン「Swan」を使って削られていく氷。かけられていくシロップ。
はじめの1杯ゆえ、この時点では私、まだかき氷を若干軽んじておりました。
従来のシロップに比べ、果実味あふれる新型シロップ。いただきます。
………すごい。知っているのと違う。
ふわっ、ひやっ、しゅん。冷たさ以上にふわふわ食感が口の中に広がって、広がったと気づいたころには消えている。なんだこれは。
私の”かき氷”像といえば、先割れストローが突き刺さったやつだ。食べるとジャリジャリ、ジャンキーな感じ。ブサイクなペンギンちゃんが描かれた簡易カップに盛られた氷をひと口食べて頭がキーンとでもすれば「懐かしい、痛みだわ…」と呟きたくもなろう。
どちらにも良さがあるけれど、従来型は「駄菓子」、ふわふわ氷は「スイーツ」といったところか。明治屋さんのシロップも「”イチゴ味”味」ではなく、ちゃんと「イチゴ味」。否、とちおとめ味。「九州のゆず」の子どもに媚びないスッとした甘さもまたおいしい。おばあちゃんにも食べさせてあげたくなるような味だなあ。ううむ、残る2種(メロンと抹茶)も気になるところ。
この1杯を食べ終わると、めいめい、「かんな」さん、「クラフトカフェ」さんのブースに並ぶことになる。向かってみれば…
大行列。
せっかちなので、食イベントにつきものである行列は不得手です…が、おいしいかき氷をいただくべく、がんばりました。
かんな 沖縄店
「かんな」店主さんが語る「おうち氷の魅力」
本店は東京・三宿にある「かんな」さん。かき氷専門店を掲げる沖縄店ができたのは最近のことだそう。ご主人が沖縄を訪れた際に食べたかき氷が、どれも「従来型かき氷」だったそうで、そのことに衝撃を受けたのだとか。おいしい食材が数多く手に入る沖縄の魅力を活かしたグルメ氷を振る舞いたい、ということで沖縄店を始めることになったそうだ。
そんな「かんな」のご主人が語るおうち氷の魅力とは、「好きなようにチャレンジできるところ」。ただ、イチからのチャレンジだと難しいことも多いので、既製品をうまく使いながら、「季節のフルーツを乗せる」といったシンプルなアレンジをおすすめされていた。
この場で教えていただいたのが、練乳トッピング。練乳と牛乳を5:5で割るとおいしいとのこと。混ぜるだけなので超かんたん。これはすぐにでもチャレンジできるのでは。
「かんな」さんのかき氷3品
この日ご用意いただいたのは、沖縄らしさあふれる3つのかき氷。
1)アセロラレアチーズ
アセロラというと赤い缶ジュースの姿がふと脳裏をよぎるが、実際のアセロラはあんなに甘酸っぱいものではないそうだ。とにかく酸味が強いらしく、レアチーズのソースの中に入れ、酸味を押さえつつもアセロラの風味を出しているとか。
ものすごく、おいしい。
この、はじめのひと口の感動がすごかった。氷が本当に、瞬間的に口から消えてしまうのだ。かき氷を”食べている”というより、”飲んでいる”に限りなく近い。味も大変おいしくて、絶対に使いたくなかったあの表現でお伝えすることをお許しください…「甘すぎない」。キッズにはひと口たりとも分けたくない、大人のスイーツ。その行為が子どもっぽいというご指摘はごもっともです。
食べ進めていくと、中には果肉入りマンゴーソース。甘酸っぱくてさわやか、ウマイ!
氷を削りながら練乳をかけていたせいか、シロップがかかっていない白い部分もほのかに甘い。なんて手が込んでいるんだ…イマドキのかき氷、すごいぞ。
2)沖縄ドラゴンバナナとシママースカスタード
3)沖縄パッションマンゴー
こちらは希望の方に有料(1杯500円)で提供されていた2品。バナナらしさゼロのパープルフェイスが「沖縄ドラゴンバナナとシママースカスタード」、右の黄色いものが「沖縄パッションマンゴー」。
私はとってもピュアでイタイケな心を持っているので、「かんな」のスタッフさんに「沖縄にはドラゴンバナナという紫色のバナナがあるのですか?」とお尋ねしたところ、「違います!ドラゴンフルーツと混ぜているんです!」と教えていただきました。そ、そうだよね…!紫色は芋だけで十分だぜ…!
照れ隠しでニヤニヤしていた私に、行列で少し前に並ばれていたマダムが「あら、私と同じこと聞いてる!」とニッコニコ。そうですね、私たち、ピュアシスターズという名のデュオを組みましょう(´;ω;`)
そんなドラゴンバナナ、バナナっぽくないスッとした甘さだなと思っていただいてみれば、喉ごしのまったりとした香りが、バナナ!中には、沖縄の塩「シママース」のカスタードが。自然な甘さなのにガツンとくる一品でした。
それと対をなしたのが「沖縄パッションマンゴー」。パッションフルーツの甘酸っぱさが際立っていて、さっぱり。これはむしろ、甘いものは苦手だという方にも勧められそう。
クラフトカフェ
「クラフトカフェ」店主さんが語る「おうち氷の魅力」
クラフトカフェさんは埼玉のカフェで、なんとその本業は「陶芸教室」。「行ってみよう」と思うにはなかなかハードルの高い陶芸教室という場に、気軽に訪れてもらうためのきっかけとして、教室の1階でカフェを始めることになったそう。
創業以来ずっとコーヒー味のかき氷を提供しているほか、季節に合わせたかき氷メニューが揃えられているとのこと。
そんな「クラフトカフェ」さんは、「家にある物を使う」ことでおうち氷を楽しんでほしいとアドバイス。家にある季節のフルーツは少量でOK。それをレンジでチンしてヨーグルトなどと混ぜれば、オリジナリティあふれるかき氷が完成!ほかにも梅酒などを使うアイデアも提案してくださった。大人なアルコール入りかき氷、いいかも。ウイスキーかき氷とかどうだろう!
「クラフトカフェ」さんのかき氷3品
陶芸教室を開いているクラフトカフェさんのかき氷は、クリエイティビティに富んだ3種類。
1)ラムレーズン珈琲
いちばん左が「ラムレーズン珈琲」。クラフトカフェさんの看板商品でもある、コーヒーフレーバーのかき氷だ。
シロップのところだけいただくと、パピコのコーヒー味を思わせるような、やさしくてかわいい味なのに、ラムレーズンはなかなかの大人味。どうしよう、アルコール系のかき氷、いいな。
ところで生まれて初めて「かき氷の食べ比べ」をして気づいたのだけれど、これまでいただいたかき氷、作り手(お店)によって氷そのものが全然違う!かんなさんがシュッと消えるような氷だったのに対し、クラフトカフェさんは少し”食べる”感のある氷。削り方だけでもいろいろな表情が楽しめるのだなあ。
2)完熟梅と生越(おごせ)梅林大吟醸の酒粕(有料/1杯500円)
こちらは埼玉・入間にある酒蔵、佐藤酒造さんのお酒「生越梅林(おごせばいりん)」の酒粕を使った、この日のためだけに作られたスペシャルメニュー。
酒粕の風味が最高!
3)パクチー(有料/1杯500円)
クリスマスが嫉妬するほどの緑×赤がまばゆい、パクチーかき氷。
オーダーの瞬間は完成形を知らなかったので、
緑汁がどくどくと注がれ始めた瞬間、八名信夫の姿が脳裏をよぎった。胸騒ぎなんてするもんか。するもんか…。
さらにイチゴが乗った瞬間、「えっ、乗せるの!?」と声が出そうになったことを白状しましょう。パクチーは好きだけれど、イチゴも好きだけれど、フュージョンした結果を誰が想像できようか。
とりあえず、いただきます!
…は、はじめての味だ…!
パクチーシロップはさっぱり爽やか。甘み成分を補てんするかのような、深い甘みのイチゴ。ごくりと飲み込んだあとも、ほのかに口の中にはパクチーの香り。不思議すぎる。パクチーを使ったフルーツサラダとか、おいしいのかもしれないな。
旬の食材をかき氷化してしまうクラフトカフェさん、お店でいただけるその他のメニューが気になってしょうがない。
かき氷が好きになった
”好き”の反対語…それは”無関心”。
このイベントに参加するまで、お祭りのかき氷しか知らなかった私。おいしいともまずいとも、なんとも思えないから、かき氷に興味を持ったことなんてなかった。
「おいしいかき氷」をいただき、いま流行りのかき氷がなぜ流行っているのか、なぜ並んででも食べたくなるのか、よくわかった。氷、深い。うまい。
氷の削り方で、あんなにも様変わりするなんて。工夫が凝らされたシロップの数々にも驚いた。
感動した私はイベント会場の隅でひっそりと開催されていた「かき氷協会グッズコーナー」にお邪魔し、
かき氷専用スプーン、買いました。
しかもイベントの序盤でおいしさに感動してしまったものだから、実はこのレポート記事も、途中から使い捨てのプラスプーンではなく専用スプーンが使われております。
先が薄くなっているせいか、かき氷を食べたときの「ひやっ」が口の中にファーっと広がっていく。上顎、舌、内ほほがヒンヤリ。
長さに特徴がある専用スプーン、柄の部分には「一般社団法人 日本かき氷協会」の文字が。かき氷店に行くときは、マイ箸ならぬマイスプーンとして、こちらを持参してみよう。
といいつつ、たぶん最初は自宅でヨーグルトを食べるときに使うんだろうな…。
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