言いたいことやまやまです

仕事をやめ、誇りを持って主婦として生きることにした1985年生まれ。金儲け臭ゼロのブログで生きざまを書き綴っています。お金はいつでもほしい。

やままあき

Author:やまま (id:yamama48)

仕事をやめ、誇りを持って主婦として生きている1985年生まれ。我慢しない人生を送ろう!
自己紹介はこちらです。
読者登録していただけると嬉しいです!
お問い合わせはこちらにお願いいたします。

自己受容
妊娠出産育児
レビュー
自己紹介

浪曲も講談も面白いぞ!玉川太福さん・神田松之丞さんの二人会に行ってきました

8月中旬、浪曲師の玉川太福さん、講談師の神田松之丞さんの二人会に行ってきました。日本橋亭に伺うのは初めてだったのでうれしかったです。

日本橋亭

日本橋亭

会場30分前に着きましたが、すでに20名くらいの方が並ばれていて、お2人の人気と勢いを改めて感じさせられました。

さて、初めて入った日本橋亭。畳の上の座椅子席と椅子席がこじんまりとしたお部屋いっぱいに敷き詰められていて、盛況ぶりがうかがえました。

日本橋亭

3列目ゲット。

開演後、はじめに講談師の田辺いちかさんによる「太閤記 太閤と曽呂利」の一席を楽しませていただきました。

「浪曲」「講談」とは?

松之丞さん、太福さんの口演の感想の前に、せっかくの機会なので「講談」と「浪曲」についてほんの少し勉強してみます。(勉強といっても、各協会のWEBサイトを拝見した程度ですが)

講談協会のページでは、「落語」との比較で「講談」を紹介していました。

簡単に言ってしまえば、「落語」が会話によって成り立つ芸であるのに対し、「講談」は話を読む芸という言い方ができます。

確かに落語はほとんど「天の声」「語り部」的な存在がいない!その点、講談では講談師の方が話を進めてくれます。

会話に比べると語り部パートって、難しかったり、とっつきにくかったりすることがあります。そこで講談ならではの「パパン!」なのですね。小道具、「張り扇(はりせん)」「釈台」の出番です。

はりせんって、あの、バラエティ番組でよく使う「ハリセン」!?名前の由来は講談だったの?なんて思ったのですが、後者の「ハリセン」は「”張り”倒すための”扇”子」の略だそうで、別物でした。(これはWikipedia情報)

リズミカルな話芸の妙味によって、どんな荒唐無稽なお話でも嘘いつわりのない本当の出来事のように思わせてしまいます。嘘のことも本当にしてしまう話芸のマジック。そこにこそ講談最大の魅力があるのです。(※講談協会WEBサイトより引用)

「講釈師 見てきたような嘘をつき」なんていう言葉もあるそうです。すごい言葉だな…。


続きまして浪曲ですが、日本浪曲協会のWEBサイトによると「三味線を用いて物語を節と啖呵(台詞)で演じる語り芸である。」とされています。

「節」が歌のことで、「啖呵」が語りや会話。
…あれ、「啖呵」って、あの、「啖呵を切る」の啖呵!?浪曲に端を発していたの?なんて思ったのですが、これまたどうも違うようです。「啖呵を切る」の語源は咳・痰のほうでした。確かに、痰が切れるとスッキリするもんなあ。

もう少し浪曲について知りたかったのですが、浪曲協会さんのWEBページがちょっと難しかったので、浪曲親友協会のページも拝見。

浪曲は、節よりも啖呵が難しいと言われ、「フシで三年タンカで五年」と言われています。

歌の方が難しそうに感じていたので意外でした。

前述のとおり、講談は「張扇」と「釈台」が印象的ですが、浪曲もいろいろ特徴があります。

まず舞台の中央に金屏風。その前に腰ぐらいの高さの小さめのテーブルを置き、その上に「テーブルかけ」がかけてあります。テーブルの後ろに背もたれの長い椅子があり、そこにはそれぞれの流派の家紋を配した布が掛かっていて、演者は大体は立ちながら演じています。(※浪曲親友協会のWEBサイトより引用)

 

立ってたんだ!!!…知らなんだ…知らなんだ…

 

浪曲師さんの右手には、三味線を演奏する「曲師」さんがいらっしゃいます。この日も玉川みね子師匠の軽快な演奏のもと、太福さんの節と啖呵を楽しみました。

…初めて知ることばかりだったな…二人会に行く前に予習しておけばよかったです。

前半は「新作」披露

さて、今度こそ二人会の口演の感想メモを。

お2人とも2席ずつだったのですが、前半は新作、後半は「慶安太平記」を披露してくださいました。

松之丞さんによる新作「桑原さん」

空気が読めない鼻つまみ者、「桑原さん」。彼の旧友2人の口から、そのレジェンドが語られる一席でした。

小学校の算数の授業中にスッと手を挙げて「総理と天皇、どっちが偉いんですか」なんて質問をしてしまう桑原さん。
雪合戦の雪玉の中に石を詰めて投げる桑原さん。(しかもクラスのマドンナの顔に当てる)

荒唐無稽の手前、「あ、そういう、空気が読めない奴いるよな」と思わせる絶妙なシチュエーションの描き方がたまりませんでした!

太福さんと玉川みね子師匠による「地べたの二人”湯船の二人”」

タイトルを聞いた途端、キター!と大興奮。浪曲に興味を持ったきっかけはほかでもない、太福さんの創作浪曲「地べたの二人 ”おかず交換”」という作品だったからです

「おかず交換」に続いての登場となる、工場勤めの齋藤さんと金井さん。(サイトウさんのサイは「難しい方」とのことですので、私のなかでMAX難しいとされる「齋藤」に変換してみました。上だけじゃなくて中身のところも難しいやつです。)

会社帰りに銭湯に寄る、ただそれだけのことなのにイチイチおもしろくて!

啖呵での2人の会話、特に上司である齋藤さんのフェミニンな口調がツボで、何度も大笑いしてしまいました。誤ってタオルを2枚借りてしまった齋藤さんの、「湯船用と、身体拭き専用」なんてことを自分に言い聞かせている姿。情景がはっきりと脳内で描かれました。かわいすぎる。

齋藤さんのツボ台詞が多すぎたので、早くもう一度拝見してメモを取りたいくらいです。言い回しが最高です。(特に、”可能?””可能です”の会話がたまりませんでした)

「慶安太平記」リレー口演

後半では「慶安太平記」を。江戸幕府3代将軍・家光の時代のお話です。
倒幕を謀る由井正雪を主人公にしたもので、歌舞伎でも演じられているそうです。あの立川談志師匠は、講談をもとに、「慶安太平記」を落語にしていたとのこと。後日こちらも拝聴したい!

全19席からなる一大巨編ですが、そのなかから7話目にあたる「宇津谷峠」(松之丞さん)、8話目「箱根の惨劇」(太福さん・しかもネタおろしとのこと)の口演でした。

松之丞さんの「宇都谷峠」

「江戸から京都まで5日で300両を届けよ」という命を受けたお坊さん・伝達(名前の呼び方はいろいろあるそうです)の不気味な道中が描かれます。

伝達の後をつけてくる男・十兵衛(じんべいとも聞こえたのですが)の静かな狂気が冒頭から際立っていました。体力があり、賢く、さらに達筆だという十兵衛。そのカリスマ性に、いかんいかんと思いながらも魅了されていく伝達の様子もよかった。私も一緒に十兵衛の世界に引き込まれる心地でした。明け方、うす暗い峠の川を渡るシーンなんてもう、ヒヤヒヤもの!よもや十兵衛はここで伝達を殺すのか?手に汗握ってしまいました。

物語の終盤に差し掛かるころには、「講談を聞いている」という感覚はなくなり、はっきりと情景が脳内に浮かんでいました。歴史嫌いだから舞台設定全然わからないのに!不思議だなあ。VRもびっくりです。

松之丞さんの「語る力」に魅せられた45分間でした。しびれた!


太福さん・みね子師匠の「箱根の惨劇」

前話にて、江戸から京都に無事お金を届けた伝達。その帰り道が描かれます。

松之丞さんが演じた伝達は、とっても真面目で真面目で、真面目すぎるがゆえに陰のある十兵衛に魅せられてしまうような男でしたが、太福さんの伝達はとっても豪快。

お腹が空いたと食事処に入り、うどん、こんにゃくと里芋の煮物、塩辛、あとなんだったっけな、それぞれ3人前ずつ注文したかと思うと、大きな鉢に入れ、かき混ぜて平らげてしまうのです。

既にうどんが入っているのに白米を注文する伝達に、お店の人が炭水化物の重ね食べを指摘するあたり、先日の大阪のニュース(お好み焼きとごはんのセットへの警告)を思い出して笑ってしまいました。太福さんのこうした、ちょっとした表現がことごとく「大好きだ!」。

途中で彼は盗人に襲われかけるのですが、松之丞さんのときの気弱な伝達はどこへやら、超人ハルクを思わせる破壊力でぶちのめしてしまいます。箱根の「惨劇」って、盗人たちにとっての惨劇だったのか…攻撃開始から数秒で全滅でしたので、非常に気の毒でした。

不気味な「宇都谷峠」、カラッと豪快な「箱根の惨劇」。それぞれに味わいのある慶安太平記を拝見できてとても面白かったです。

口伝えの伝統芸能

後半戦の冒頭、松之丞さんが慶安太平記についていろいろと教えてくださいました。

たとえば、講談と浪曲での違い。
講談では2,000両を届けることになっているのですが、電車で行くわけではありませんので、歩いて届けるには、少々リアリティに欠ける額とのこと。一方浪曲では300両という設定だそうで、今回はその設定が採用されていました。

また、お坊さんの名前も「デンタツ」だったり「ゼンタツ」だったりと異なるそうです。口承される芸ならではの面白い点ですね。

この日松之丞さんが口演した「宇都谷峠」は45分にもわたる長いお話です。それほどのボリュームがある話を、口で伝えていく。すごいことだと思います。

松之丞さんもさらっとその大変さを述べながら、少しシンとした客席に向かって「何この空気!」なんて笑っていらっしゃいましたが、松之丞さんが講談を大切にされていること、のちの世代に引き継いでいくぞという想いを垣間見た気がして、胸がじんわり熱くなりました。かっこいいです。

大いに笑い、魅了された口演はなんと2時間半にもおよびました。贅沢な時間をつくってくださった演者さん、関係者の皆さまに感謝です。

きっかけは「渋谷らくご」

ちなみに、こうして浪曲や講談に興味を持つきっかけをくれたのは、「渋谷らくご」です。

初心者でも楽しめる「渋谷らくご」|ユーロライブ

長きにわたり落語を愛し続けてこられたサンキュータツオさんが開いている、「初心者ウェルカム」を宣言している落語会ですが、落語家さんばかりでなく、浪曲師さん、講談師さんも登壇されるのです。

寄席に行けば、落語家さんのみならず紙切りや太神楽(曲芸)の方もご出演されるわけで、そしてそのバラエティの豊かさが楽しいわけで、その雰囲気を1~2時間でコンパクトに味わわせてくれるのが「渋谷らくご」だと思います。

本当に楽しく充実した2人会でした。浪曲と講談に興味を持つ機会に巡り会えたことに感謝です。大げさかもしれませんが、人生の楽しみが増えました。

明日は母と一緒に落語会だ!これまた楽しみです。

関連記事