※2018年1月5日編集※
「魔女の宅急便」といえば、思い出すのは「ニシンのパイ事件」。宅急便屋のキキが、やさしそうな老婦人の「孫娘のために手づくりのニシンのパイを届けてほしい」という依頼を受けての一連の流れである。
孫娘のためにパイをつくりたいのにオーブンが壊れてしまい、おばあちゃんが悲しそうな顔で諦めようとする。そこでキキは機転をきかせ、古くなったかまどで焼こうと提案。薪をくべて、汗をかきかき心を込めて、人の良さそうなお手伝いのおばちゃんも交え、3人で必死でパイをつくる。オーブンで焼きあがるパイの、おいしそうなこと。(スタジオジブリはやっぱりすごい!)
そんな思い入れたっぷりのパイを持って、いざお届け!キキは飛びたつものの、途中で豪雨に降られてしまう。ずぶ濡れになりながら、なんとか孫娘のもとにパイを届けるのだが、返ってくるのは感謝の言葉ではなく「あたし、このパイ嫌いなのよね」。
幼心に衝撃のシーンであった。
私はあの老婦人が大好きで、彼女の想いが孫に伝わらないことが切なかった。孫娘への怒りの気持ち、忘れはせぬぞ!
日常に潜む「ニシンのパイ現象」
でも、大人になった今だからわかる。孫娘はちょっとばかり素直すぎただけで、「悪」ではない。
先日、大好きな「モヤモヤさまぁ~ず2」を見ていたら、視聴者の女性から
「ごはんを作って待っているのに、夫はすぐ飲み会に行ってしまう。どう思います!?」
という旨のハガキが寄せられていた。
さまぁ~ずの2人は
「頼んだわけでもないのに、勝手に作って勝手に怒られても困る」
「ごはん作って待っていてくれなくていい」
と一刀両断。ニシンのパイ現象、ここにあり。
「魔女宅」の孫娘は、事実として「ニシンのパイが嫌い」なのだ。突然嫌いなものが贈られても、喜べない。よりによって「ニシンのパイ」。もしも捨てたとしても、ゴミ箱が匂いそうだし、なかなか手に負えない贈り物だ。
あの場でキキが「どうして喜んでくれないのよ!あなたのために一生懸命つくったのに!」と胸ぐら掴んで喚こうものなら、きっと孫は「頼んでないわよ!」と返していただろうなあ。
孫娘が好きなもの、喜ぶものを把握できていなかったおばあちゃん側の、選択ミスだと思う。
私自身も、忘れられない「ニシンのパイ現象」を経験したことがある。幼稚園のころだっただろうか。
当時、海外出張に行っていた父がお土産にと買ってきてくれたスノーマン人形。忙しいなか、我が子を想って選んで買ってきたのだ。泣ける。
それが受け取るやいなや、幼い私の反応ときたら
「なんだあ、人形か(がっかり)」
「なんだとはなんだ!!!」
当然ながら、父はひどく機嫌を損ねた。(気の毒すぎる)
「当然喜んでくれるはず」という思い込みがカギ
「魔女宅」の孫娘に怒りを感じた幼少期の私も、さまぁ~ずに相談の手紙を送った女性も、スノーマン人形を買ってきた私の父も、それぞれに「贈り物」に自信があったのだ。「絶対に喜んでくれる」と信じ込んでいた。
しかし現実は残酷なもので、期待はあっけなく裏切られてしまった。向かいどころのなくなった「喜んでくれるはず」という昂ぶった気持ちは、怒りに変換されたのである。
望まないものを贈られた側も、辛い想いをすることがあるだろう。気持ちはありがたいのだが、「要らない」という事実は変えられない。かといって他人にあげるわけのも失礼だし……といった具合に。
こんな切ない「ニシンのパイ現象」を回避するためのカギは、贈る側の「喜んでくれるはず」という想いだ。
この想いを捨て、見返りの言葉や感情を期待しない。儀礼的にではなく、マジで、心から、「お口に合うかわかりませんが」的感情を添えて贈り物をする。「喜ばれるために贈る」のではなく「贈りたいから贈る」べきなのだ。
頼れるのはやっぱりAmazon
時代は便利になったもので……「Amazonほしい物リスト」、これが実に便利。
yamayoshi.hatenablog.com
せっかくなら喜んでもらえるものを贈りたいというとき、相手に「ほしいもの何?」と聞くわけにいかないけれど、ほしいものリストを参照できたら、お互いに助かる。
贈ってうれしい、もらってうれしい。なんて幸せな贈り物関係だろう!
みんなで「ほしいものリスト」を公開し合えば、ニシンのパイ現象は減っていくんじゃなかろうかと思うのだ。
というわけで、私の「ほしいものリスト」もつくってみました。
なお、作成にあたってはこちらの記事を参照させていただきました。↓
【初心者向け】Amazonで匿名のほしい物リストを作って公開する方法 | そうすけブログ.com
とっても簡単。みなさんも、ぜひ。
おまけ:スノーマン後日談
「なんだあ、人形か」と存在を全否定されてしまったスノーマンぬいぐるみは、この忘れられない一件のおかげで、一転、私の宝物に。実家に住んでいたときも、1人暮らしをはじめたときも、いい歳になった今も、ずっと枕元にいる。
四半世紀以上の付き合いということもあり、手洗いまで施すくらい大切。
なんだかんだ書いてしまったけれど、やっぱり「喜んでほしい」という想いって、「うれしい」以前に「ありがたい」ですね!