新年度も後半です。
新人さんとのコミュニケーション、うまくいっていますか?
会社というコミュニティのなかでだと、親と子、もしかしたら祖父母と孫、くらいの歳の差が生まれることがあります。
小学生時代が重なっていない歳(6歳差)くらいになると、育ってきた時代背景の違いで、カルチャーショックを受けることが多々あるんじゃないかなあと思います。
上司からのお誘いには謙譲語で応じるべし
3月末に放送された「ジェーン・スー 生活は踊る」の相談コーナーでハッとすることがありました。
Twitterにメモしておいたので、埋め込みます。
スーさんのラジオを聴いていたら、「役員クラスの上司からランチに誘われ、『いいですね!行きましょう!』と答えた」というリスナーさんに愛のダメ出しが。
— やまま あき(主婦ブロガー/新米おかん) (@yamama48) 2022年3月31日
「そこは『ありがとうございます、ぜひご一緒させてください!』でしよ!」
リスナーさんの年齢をすっかり失念してしまいましたが、このノリは20代ではないだろうか? いっても30代前半かな?
対してジェーン・スーさんはアラフィフ。
アラフォーの私は
「スーさんがおっしゃっている返答が正しいのは、わかる。でもリスナーさんのような感覚を大事にしてみたい」
と思ってしまいました。
このあたりのマナーって、自ら身につけられるものではないはずです。
誰かしらの大人に指摘されて初めて知る「知識」の色合いが強い気がします。
少なくとも私は、新入社員時代に叱られて初めて知りました。
当時の上司に、「おいやまま、昼でも食いに行くか」と誘われたときのこと。
「いやー、今日は難しいです、スイマセン」のような偉そうな返答をしました。悪気なく(笑)。
上司がそっかそっかとその場を去ったのち、私は先輩社員から別室に呼び出されたのです。
「あんな失礼な言い方しちゃダメ! 行けないにしても、『お誘いありがとうございます』でしょう!?」
同行できない旨を謝れば問題ないと思っていたので、まさか叱られるほどのことだったとは!
「(自分が望んでいるわけではなかった)上司からのお誘いに対し、お礼を言うのはマスト事項」だなんて、誰にも教わってないよ!
当時の私は、生まれてこのかた「しっかり者」「真面目」「デキる」で通ってきた人間だったので、それはもうショックを受けました。
「無知な自分」が許せなかったのですね。
この衝撃を1日引きずりました(この時点で使えない社会人だぞ、オイ!)。
「そーなんだ! 社会人って感じだな~! 次から早速そうやって言おう」くらいに受け止めりゃよかったのにね~。
(それはさておき、私の羞恥心や罪悪感を小さくするように気を遣ってくれたのか、別室に呼んでくれた先輩のやさしさが光るなァ……)
謙譲語を使う理由
同時に思うのです。
— やまま あき(主婦ブロガー/新米おかん) (@yamama48) 2022年3月31日
「いいですね、行きましょう!」
って回答、かわいいじゃないかって笑
でもこの受け答えひとつで、のちのち嫌な思いすることになりかねないんだもんなあ。
相性悪い人だったんだ、じゃあサヨナラ!ってわけにいかないんだもんなあ。
働き人、つらい。尊敬する。みんなえらい。
さすがにアラフォーにもなれば、偉い人からお誘いを受けたとき、「ありがとうございます! ぜひとも! お願いいたします!」くらいは自然に言えます。
しかし会社員生活から距離を置き、主婦として日々を送っているいまの本音は上記ツイートのとおりです。
素直でかわいい。
さすがにタメ口であれば抵抗感を隠せませんが、慇懃無礼な態度のほうが、私にとっては悪印象です。
……とかそんなことを考えているうちに、ふと疑問が生まれました。
相手が偉い人だとか、雇い主だとか、歳上だとかという理由だけで、なぜ「いいですね、行きましょう!」を、「ありがとうございます、ぜひともご一緒させてください」という、下からグイッ!みたいな謙譲表現にしないといけないのだろう?
この表現を使うと、相手が喜んでくれるから?
違うと思います。
この表現を使うと、相手の機嫌を損ねずに済むからです。
要は「下手に出ていれば、とりあえず失礼にはならない」というリスクヘッジコミュニケーションです。
謙譲語コミュニケーションは仕事の一環
リスクを回避するためのコミュニケーション表現って、ちょっとさみしいな……とも思ってしまいます。
仕事でお金のやり取りが発生しなくてタテの人間関係がない、「主婦」という立場にいるから言えることなのでしょうが。
会社員にしても、自営業の方にしても、ビジネスマンは「素の自分」でいてはダメなんだと思います。
とくに会社員のかたは、会社名を背負っている。
極論ですが「◯◯さん」という個人名はあってないようなもので、「◯◯社の人」でしかないのでは……?
だから社員が不祥事を起こせば、会社のブランドイメージが低下します。
自営業の方だって同様です。
相手が礼儀や上下関係を重んじる人であれば、フランクなやりとりひとつで、取引先の機嫌を損ねる可能性があります。
そうしたら最後、「おたくにはもう発注しない!」なんてことにもなりかねません。
ちょっとしたことで回避できるリスクに足を引っ張られないよう、へりくだって振る舞うこともまた、大事な仕事。
前述のラジオで語られていた事例は同じ会社内のことではありますが、役員の方がもし、リスナーさんの「いいですね、行きましょう!」をすごく不快に感じていたら、リスナーさんの上司や部署に「管理不行き届き」を指摘し、評価を下げるかもしれません。
プライベートのシーンでだって、人によっては「一族や親の顔を潰してはならない」ということを念頭において、生活しているのだと思います。
「言っちゃいけないことを言わない」以上に気をつけてみたいこと
しかしこの多様性時代、「失礼」「不快」の感覚は人それぞれ異なるということに目が向けられつつあります。
まだそのムードになれていないから、単純に「こういう発言は失礼にあたる」ジャンルの表現が増やされるばかりで、ちょっと過ごしにくさも感じたり……?
たとえば
「スチュワーデスではなくキャビン・アテンダントと呼びましょう」
「あだ名ではなく、さん付けで呼びましょう」
というルールがあれど、人によっては、スチュワーデスという呼称でも全然気にならない男性や、さん付けが嫌いだという会社員さんもいるのではないかと思うのです。
いまの情勢に逆らおうとまでは思いませんが、私は「なにを言ってはいけないか、気をつけて発言する」以上に、「私はなにを言われると不快になるか、伝える」ことを大事にしてみたい。
だけどこれ、めちゃくちゃ難しいことです。
伝えることで相手が不快になる可能性がおおいにある。
そんなときこそ、コミュニケーションメソッドの「NVC(Non-Violent Communication)」の出番なのだろうなあ。
このメソッドによれば、嫌なものを単純に「それ言われると嫌です!」と伝えるのではなく、「どういう状況で」「その言動によって私がどういう気持ちになるのか」を添えるのが大切です。要は「嫌である理由」ですね。
久しく読み返していませんでしたが、再読してみようかな。
子どもとのコミュニケーションにも有用だと思います。
過去に要点まとめ記事も書いてみたので、よかったらご覧ください。