インド製インスタントクスクスをいただく。
— やまま あき◆主婦ブロガー (@yamama48) 2021年8月3日
ウプマというもので、朝食のメニューらしい。
ほのかにしょっぱく、「おいしくない」。
注意されたいのは「まずい」ではないこと。
おいしいとまずいのちょうどまんなか、どちらでもない。
苦もなく平らげたけれどなんか虚しい… pic.twitter.com/4ITrTdhRm2
インド産インスタンドフードをもらった
知人から、エスニックフード店で買ってきたという「インドのインスタント食」をもらいました。
パッケージには「インスタントウップマ(インド風インスタントクスクス)」と書かれていて、インド「風」ってなんだよ……と思いながらも興味津々。
クスクスは「粉パスタ」とでもいいましょうか。
そうそうお目にかかる機会もないのですが、先日訪問したシズラーの「ハワイアンサラダ」にはクスクスがふんだんに使われていたっけ。
ブラジル料理あたりでも遭遇した記憶があるような、ないような……。
いずれにしてもインドのイメージはありませんでした。
インドの朝食メニュー「ウプマ」
パッケージ写真は辛そうではない。
原材料ラインナップも、辛かったり、ぷんぷん香り立つ要素はなし。
ひよこ豆やカシューナッツ、グリーンピースなど、豆好きにはうれしい具がもりもり入っているようです。
調べてみれば、朝などに軽く食べるものの様子。
さすがのインド人も朝は辛くないものを食べるんだなあ。
作り方はかんたん。
パッケージを開けて、入っている材料をすべて容器のなかに入れ(といっても材料はぜんぶ1つの袋にまとまっているんだけど)、90mlのお湯を注いで5分放置。
最後にかき混ぜたらできあがりです。



完成したのは「クスクス」というよりは「マッシュポテト」の外観。
容量に対し容器が大きすぎます。「え、これっぽっち?」感の拭えないバランスが素敵でした。
「不思議なかほり」が漂わないのは想定通り。
エスニックフードが苦手な人もこれなら立ち向かえそうです。
インスタント「ウプマ」はおいしくなかった
では、いただきましょう!
マッシュポテトのような見た目ながらも、小麦であることを実感する、ちょっとネチっとした食感。
ほんのり塩気を感じます。
ひとくち目を飲み込み終えて思った感想は
「おいしくないなー」
でした。
あんなに豆とかフライドオニオンとかいろいろ入っている割に、どうも「UMAMI」要素が感じられないのです。
ただほんのりしょっぱい、マッシュポテトっぽい小麦。
おいしくない。
間違えないでいただきたいのは、決して「まずい」ではないということです。
そのような味のものを、ひとは「ふつうの味」などと称するのかもしれませんが、普段から食べ慣れているメニューでもないので、ふつうかどうかがわかりません。
ただ、私にとってはおいしくもなく、まずくもありませんでした。プラスマイナスゼロの味。
ちなみに、期待していた豆たちは5分の熱湯攻撃ではふやけてくれなかったようで、ポップコーンに入っている「爆発してくれなかったコーン」状態でした。
あまりの「おいしくない」っぷりに、食べているこちらの心もじょじょに「無」の境地に。
まずいわけではないので、ふたくち、みくちと食を進めているものの、私はなぜこれを食べ続けているんだろうと不思議な気持ちになってきます。
これは何なんだろう。私は誰なんだろう。我は汝、汝は我……。
ちょっとした瞑想状態に入っている間に、気づけば完食していました。
「可もなく不可もなく」という表現があります。
それを味覚を通じて体感したひとときだったようにも思うのです。
感情における喜怒哀楽いずれのスイッチも刺激されない、不思議な時間でした。
さすがインド、瞑想の地で生まれた食べもの!
「記憶に残らない存在」もまた尊い
この記事を書いているのは、ウプマ(これまでさんざん書いてきたインスタントフード)を食べた翌日のことです。
いま、あの味を思い出せと言われてもなにも浮かびません。
ほんのりしょっぱかったことはわかるのですが、それは純粋に塩系の味わいだったのか、はたまたコンソメのような味だったのか、もうまったく覚えていません。
……ふと「社会人になってからの私って、だんだんと、昨日のウプマみたいになっていったのかもな」と思いました。
目を惹くパッケージに代わるのは、学歴や職歴でしょうか。
それで興味を持って採用してもらうのだけれど、可もなく不可もない。
思いきりできないなら叱り飛ばすこともできるけれど、できないってわけじゃないから、なんとも指摘しづらい。
かといって優秀なわけでもない。とっても「味がない」。
辞めてしまったあと、その人の姿や働きぶりを思い出そうにも、思い出せるものがない……。
いまでも気にかけてもらえたり、構ってもらえたりするのは、私が思いっきり「不出来」だった1社目や2社目のときの上司たちからです。
本当に手を焼かせました。見積書が書けなくて泣くし、私は駄目だ不出来だと日誌に書いてシンミリするし、徹夜作業中に寝るし……。
もちろん嫌われたり、面倒臭がられたりしていたと思いますが、その一方で、いまでもずっと構ってくださる方がいる。
歳を重ねてから「無難に」働いた会社の仲間たちとは、いまではほとんどご縁がありません。すごく好かれてもいないでしょうが、すごく嫌われてもいないでしょう。
記憶に残っていない可能性が高いのではないかと思います。
わりと最近まで、「目立つ人になりたい」「記憶に残る人になりたい」と思っていましたが、いまでは「昨日のウプマみたいな存在になるのも、なかなかいいんじゃないの」と思っています。両側面あっていいよな、と。
みんなの記憶に残るような生き方というのは、絶対に疲れますし、嫌われることも多いでしょう。
ウプマについて「おいしくない」とか「可もなく不可もなく」とか、ややネガティブ寄りの表現を多用してしまいましたが、相手にクリティカルなダメージを与えない点では見事です。
クレームを入れてやろう!みたいな「仕返し」を食らう可能性はないはずです。
人付き合いになぞらえれば、気に入られることもないでしょう。
そのぶん「面倒くさいことをお願いされないで済む」ということでもあります。
好かれもせず、嫌われもしない。自分のペースを保つにはベストな環境であるように思います。
みんなの前でベストパフォーマンスを発揮できなくてもいいのですよね。
記憶に残らない人になっていい。
そうして自分のペースを気持ちよく保てる環境をもちながら、ここぞというところで心を開いて、頼ったり頼られたりして、一部の人の記憶に残ればいい。
……と、ウプマを「記憶に残らない、おいしくないもの」と称し続けてしまいましたが、あくまでも私がいただいたインスタント食のお話ですのでご容赦ください。
私が食べたものよりももうちょっと手が込んだ「UPMA MIX」なるものが販売されていますので、ご興味あればぜひどうぞ。
ホンモノのウプマはなかなかおいしそうでした。
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