5月8日、ゴーヤの日(たぶん)。
何の因果か、手元には「ドリアンサイダー」があった。
先日、飛行機に乗って親戚が東京にやってきた。出迎えて手渡されたのがこれである。空港の搭乗口で苦笑されつつも、遠路はるばるやって来たドリアンサイダー。
そこまでして届けてくれたということは、
- とてもおいしい
- とてもまずい
- 第3の道
のいずれかなのだろう。
美味爽快。ああそうかい。
「ひと口目はヤバイ。ふた口目からおいしいから!」という親戚の言葉はなんのフォローにもなっていなかった。少なくとも、推測した3つの選択肢のうちの1つ目はないのだろう。
「この製品は独特の香りがしますが、ドリアン特有の風味ですので、安心してお召し上がりください。」だそうである。
無果汁なのに?
そんなツッコミを入れながらビンをまじまじと見つめていたこのとき、「無果汁」の文字の上に書き記された「炭酸飲料」の恐ろしさに、私はまだ気づいていなかったのである。
蓋を開けたら2秒でドリアン
固く締められたキャップをバリッとひねった途端、空輸ゆえの気圧マジックであろうか、静かに冷蔵庫で冷やしておいたにもかかわらず、一気に泡がこみあげてきた。
ウワァ!こぼれる!と慌てて蓋を締めるも、すでに部屋の中には例の「独特の香り」が…。
※まだ注いでいない
これは、あれだ…
新宿東口のにおいだ。
アルタの左の方にある、フルーツを串刺し販売している果物屋さんのにおい。
tabelog.com
※こちらのお店のことです
あすこには、串刺しドリアンが売られている。くっさいのだ。
言葉をオブラートにくるむことなんてできない。
今まさに、部屋が、ドリアンに包まれている。
飲んだというか、口に含んでみた
こちらとしてはいい迷惑であるが、無果汁にもかかわらずこの再現性、いろんな意味で涙が出てくる。メーカーの友桝飲料さんのご担当者は、幾度にもおよぶテストをしたのであろう。何度鼻を曲げたことだろうか。真面目さがしのばれる。
そんな真面目な彼(男性想定)の努力の結果、とてもリビングルームでは開封できない代物となってしまったドリアンサイダー。
さっさと勝負を決めなければ、リビングルームがキャント(can't)リビングなルームになってしまう。
ええい!男は度胸!女も度胸!エイ、ドリアーーーーーーーーーン!
…おおお
…おおおおお
…おいしくは、ない!
これを不味いと表現してよいのか悪いのかがわからないのだ。
なにせ、本物のドリアンを食べたことがない。
いや、しかし、あの独特の香りを無果汁という条件下で再現できた製造者なのだ。
ドリアンに深い愛があり、誠実で真摯な方なのだ。会ったことはないが、既に淡いファン心が芽生えている。そんな彼の仕事を否定することなんてできるわけがないじゃないか。
なので、きっと味も見事に再現しているに違いないのである。
「ひと口目はヤバイ。ふた口目からおいしいから」
親戚の声が脳内にこだまする。
そう、勝負はここからだ。もうひと口!
…おおお
…やっぱり、おいしくはない…
風邪薬のシロップのような味、だと思う。
ひたすらに甘く、フルーティーさ、酸っぱさ、旨みなどが感じられないのだ。
いや、たぶん一流の方には伝わるおいしさなのだろう。
私のような平民には、果物の王の真価がわからなかった。それだけのことだ。
うまくはない、まずいかどうかはわからない、ゆえに辿りついた答えは「第3の道」であった。
逃げても追いかけてくる呪い
300mlの容量のうち、大さじ3くらいを体内に摂取したのち、私は静かにビンを冷蔵庫にしまった。
誰かに飲ませようとしているわけでも、もう一度飲もうとしているわけでもない。
なんとなくである。なんとなく封印。
まずけりゃ水に流すのが自然な流れであるはずなのに、流せていない不自然。
コップに残ったドリアンサイダーを静かにシンクに流し、「おお、くさいな」とか言いながら水で軽くコップを洗った。そこに口直しに麦茶を注ぎ、ひと口。
新宿東口のにおい・再来。
いや、確実にコップは水ですすいでいる。
におう「気がする」のだ。
これは、ドリアンサイダーの呪いだ…!
やれやれだぜ、とリビングルームに戻ったところで
ゲップ。
うおおおお…広がる、広がるよ!においが口の中に!!!
大さじ3杯分の炭酸飲料でゲップが出るなんておかしくないか!
ううう、2度ならず3度までもこの香りと接することになろうとは。呪いとしか思えない。
夏の罰ゲームに最適
おそるおそるAmazonを調べたところ、
なんと、24本セットでお買い求めいただけます。
これはもう、夏休みの罰ゲームグッズとして今から仕入れておいた方がよいのではないか。あっ、お中元はどうだ。なにせ果物の王様なのだから。
ドリアンサイダーの製造という偉業を成し遂げた友桝飲料さんは、佐賀県の会社。
なんと工場見学もできるとのこと!
いつか、このドリアンサイダーを開発した、誠実で真面目でドリアン愛の深いご担当者様にお目にかかりたい限りである。
工場見学 / 友桝飲料 小ロット ODM OEM PB商品
※「個人の方は、営業時間帯であれば予約なしで、もちろん無料にてご入場いただけます。」とのことで、これはもう、超行きたい!