銀座には喫茶店が多い。
歴史もさまざま、趣向もさまざま。
私の喫茶店選びのポイントは3つ。
題して「恋しさと せつなさと 心強さと」。
- 愛おしくなる(恋しさ)
- 満腹になる(せつなさ ※デブになるから)
- 低コストでゆったりできる(心強さ)
・・・となると、ぶっちぎり1位は東銀座の「アメリカン」である。
喫茶アメリカン カテゴリーの記事一覧 - 言いたいことやまやまです
1200円で食パン1斤分のサンドイッチとてんこ盛りサラダ、そして飲み物がいただける奇跡。
しかし客席数の少なさと開店時間が限られている(15時ごろには閉まる)ことを思うと、「ゆったり」ポイントを優先させたいときは「ベローチェ」がベストだ。
「ルノアール」というご意見もあろうが、このご時世でたった190円でホットコーヒーをいただけるありがたさといったらない。
※ベローチェのコーヒーゼリーは天下一だと信じている
この世で最もおいしいコーヒーゼリー、300円也 - 言いたいことやまやまです
・・・あともう1店、どこか、ほしい。
自分の中での「銀座3大喫茶店」を持ちたい。
理由などない。3を求めがちな日本人のひとりとしての、本能的欲求である。
食パン1斤サンドのアメリカン、リーズナブルコーヒーのベローチェを押さえた今、甘味に強い喫茶店を押さえたいところ。
喫茶店でいただける甘味、というと、やはり外せないのはホットケーキ、パンケーキだろう。
実際、銀座にはパンケーキで有名な喫茶店が多い。
いずれも魅力的だが、パンケーキのために並ぶというのは御免だ。
若い女性やカップルでごった返す店内も、「流行っている店に来ている自分」に照れてしまうので避けたい。
そこで訪れたのが、1958年創業の喫茶店「COFFEE BRIDGE」。
カタカナで表記する際は「コーヒー ブリッジ」ではなく「カフェ ブリッヂ」が正しい。
地下鉄銀座駅直結の西銀座デパート地下1Fに、95席もの地下帝国を築き上げている老舗である。
特筆すべきは、全席喫煙席という潔さ。
そんなブリッヂの名物は、メロンをかたどった「メロンパンケーキ」。
メロンパンではない「メロンパンケーキ」はどんな食べ物なのか?実際に試食してみました - GIGAZINE
他でもない「メロン」に価値を見出し、メロンの味以上に「見た目」にこだわっている点に、昭和時代からつづく老舗のダイナミズムを感じてしまう。
私の「愛おしい」メーターがはち切れんばかりだ。
よ、よし、行こう!行かずにいられない!
※本日の目次
ブリッヂってこんなところ
ティラミスパンケーキってこんな感じ
パンケーキだけじゃない!
■喫茶と甘味の「架け橋」は地下にある
西銀座デパート地下1Fの奥の奥の奥。
この立派な店構え!
「COFFEE BRIDGE」「COFFEE ブリッヂ」「COFFEE HOUSE BRIDGE」・・・入り口に似たり寄ったりの店名がひしめき合い、無言ながらも「正しい店名はなーんだ?」と試されている心地になる。
※正解はこちらから
ウーン・・・もう既に、ちょっと好き。
しかしその実態にも迫らなければ。
広々とした地下帝国に入国すると、休日ということもあってか混み合っていた。
テーブルを片付けていただくしばしの間、レジ前の椅子で待つことに。
ふと横を見ると、
週刊誌がどっさり。実にいいじゃないか。
女性ファッション誌も紛れ込んでおり、そのひとつに「ELLE」が入っているあたり、なんだかんだ言っても銀座なのである。
雑誌を手に取る間もなく、すぐに奥の席に案内された。
年季の入ったフローリングを踏みしめながら周囲を見回せば、若い女性のおひとりさま、カップル、マダム衆、社外打ち合わせメンズ、スポーツ新聞を読むおじいさん・・・客層のバリエーションは大変豊かである。
席に着くと、全席喫煙可ということで、テーブルの上には当然ながら灰皿が。
しかも、ブリッヂ仕様。
くすんだエメラルドグリーンというのだろうか、色合いもデザインも秀逸だ。いいなあ、ほしい。
その横のアラジンと魔法のランプ風シュガーポットも、いい。
やはりイチオシはメロンパンケーキの様子。
噂によるとなかなかの大きさらしいが、それにしてもドリンクセット1500円越えとは・・・ボディーブローならぬ財布ブローはなかなかの攻撃力だ。
イチオシメニュー表をくるりとひっくり返してみると、
バナナづくしサンデー(800円)。
ストレートなネーミングに心がぐわしと掴まれるが、今日はやはりパンケーキでいきたい。
シチューフェアとか、
大きく美味しくなったハンバーグフェアとか、
複数開催されている祭り(フェア)商品の誘惑もすさまじい。
いずれも興味深く、つい注文したくなってしまうが、今日はどうしたってパンケーキなのだ。
前述のメロン、ティラミスに加え、パンケーキのラインナップは下記の通り。
いろいろ気になるが、「看板商品を食べておきたいけど、なんだかそれも癪」という自らのあまのじゃく精神と戦った結果、2番推しと思しき「ティラミスパンケーキ」を選択することに。
ただし、ある条件が整わなければ「ランチパンケーキ」を選択する覚悟である。
スタッフの男性を呼び寄せ、いざ注文。
「ティラミスパンケーキの間に挟まっているのは、生クリームですか?」
これこそが「条件」である。
喫茶店でいただくティラミスということもあり、生クリームでごまかしてほしくなかった。
(というか、私が生クリームが不得手なだけ)
「いえ、マスカルポーネです!」
キリリと断言する店員さんの返答に安堵し、そのままティラミスパンケーキとホットコーヒーをお願いした。
店員さんが去ってふと思ったことといえば、
(どうして、セットになるジュースはコーラ一択なんだろう・・・)
これに尽きる。
■ティラミスとパンケーキの架け橋
ティラミスパンケーキが来るまでにはしばらく時間がかかった。
お手洗いにでも行っておくか、と店員さんに場所を尋ねると、店内に設置されているというのだからぶったまげである。
商業施設内のカフェということで、てっきり、フロア共用のトイレだろうと思っていたのだ。
さすがは、60年弱の歴史を持つ地下帝国。別格だ。
そんなことにたまげている間に、ティラミスパンケーキが登場。
確かにボリュームがあり、ランチ代わりにもちょうど良さそう。
※アイスコーヒーのコースターもブリッヂ仕様!
まずは、パンケーキに添えられたアイスクリームをひとくち。
ふんわり軽い食感・・・絶妙なおいしさだ。
ピンボケたこの写真で伝わるか自信がないが、いわゆるバニラアイスクリームとは異なり、「アイスクリン」に近い。
その後、パンケーキに突き刺さっているチョコレートスティックをいただき、いよいよパンケーキタイムである。
フォークとナイフでうまく切ろうとしたのだが、チョコレートスティックを抜いてしまったことにより、3段重ねのパンケーキはマスカルポーネを介してヌルヌルと動きあい、惨事となった。
※それでもがんばって切りました
チョコレート、抜くべからず。
この反省がどなたかの糧となることを祈る。
パンケーキのお味は、若人言葉で表現するならば
「ふつうにおいしい」。
見た目通りの食感、そして味。
素朴すぎるほどに素朴な味わいだ。
アイスコーヒーを飲んで、ひと息。
大人同士の話し声で賑やかながらも落ち着いた店内。
全体を漂うほのかな煙草の香り。
こだわりを押し付けない、素朴な食器、コーヒー、パンケーキ。
・・・いいなあ。
「私、いま、喫茶店にいる」を実感する。
パンケーキを食べ進める。
店員さんが断言してくれたマスカルポーネチーズはごく微量だったようで、その風味はあまり感じられなかったが、それもまたよし。
あまりにも本格的なデザートが出てきてしまったら、かえって期待外れな気がする。
この「そうそう、この味」感がよいのだ。
1500円という価格設定には胸が痛むが、銀座であるからには仕方がなかろう。
■「次回」への架け橋はシチューかハンバーグ
隣の席についた若いカップルは、シチューフェアとハンバーグフェアを楽しんでいるようだった。
ドリンクセット1300円にして、結構なボリューム。
パンケーキセットより、安いのに・・・。
ウーン、あっちをいただくべきだったか。
そんな後悔が一瞬湧き起こったものの、それはそれ。
次回の楽しみにとっておけばいいだけのことだ。
ちょっと高いけれど、待たずにゆったりとパンケーキがいただけるブリッヂ帝国。
銀座のお気に入り喫茶店3店目に認定!
メロン、ティラミス以外のパンケーキも気になるので、これはしばらく通い詰める必要がありそうだ。