『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版』の要約シリーズ、第3回目です。
それぞれの記事を単独でお読みいただけるように書きますので、さかのぼっていただく必要はありません。
ご参考までに、これまでの記事は下記のとおりです。
書籍のなかでは、自分も他人も傷つけない、健全なコミュニケーション(NonViolent Communication)は以下の4つの要素で構成されていると説かれています。
- 観察
- 感情
- 必要(ニーズ)
- 要求
この記事では3番目の「必要(ニーズ)」とはどういうことかを要約します。
1番目の「観察」と2番目の「感情」についての要約は、下記記事をご覧ください。
その感情は誰のせい? 相手ではない!自分自身だ!
コミュニケーションがゆがむのは、相手に対して苛立ったり、悲しくなったりといった負の感情が湧き上がってくるときではないでしょうか。
その感情は何によって湧き上がるのでしょう? 気が利かないコミュニケーション相手のせい?
感情の主は、他ならぬ「自分自身」です。
負の感情でコミュニケーションを暴力化させないためにも、書籍『NVC』では「感情の根底にあるものを見極めること」を勧めています。
感情の根っこにあるものを、NVCでは「ニーズ」と呼んでいます。
たとえば「あなたみたいに自己中心的な人ははじめてだ!」と言われたと想定してみましょう。
1)「私はなんてダメなんだろう」と思っているなら……
感情の根底には「自分自身を責める」というニーズがありそうです。
2)「おまえこそ自己中心的だ!」などと怒っているなら……
感情の根底には「相手を責める」というニーズがありそうです。
3)「私は悲しい。あなたを喜ばせるために努力していることを認めてほしかったから」と思っているなら……
自分の感情とニーズを感じ取ることができています。
4)「彼は焦っているんだ。もっと話したかったのに、私が話し始めてしまったから」と思っているなら……
相手の感情とニーズを感じ取ることができています。
感情とニーズをつなげると、コミュニケーションは円滑になる
その気持ちが湧いた理由がわからないまま感情どおりにコミュニケーションをとると、自分の不機嫌を相手のせいにしてしまったり、期待していた反応が返ってこずヤキモキしたり、誤ったレッテルを相手に貼り付けてしまったりと、よからぬ結果をもたらしがちです。
感情の奥にあるもの、すなわち「ニーズ」を自覚することで会話がスムーズになります。
なにか強い感情が湧いたとき、「私は◯◯だと感じる。なぜなら私が~~だからだ」という形の文章にすると、自分のニーズが明らかになりやすいようです。
たとえば、ごはんを完食してくれない子どもにイライラしたときの
「ちゃんと食べなさい!」
というセリフを上記のフォーマットに当てはめてみましょう。
「私はあなたがごはんを全部食べないとがっかりする。なぜなら、私はあなたに健康に育ってほしいから」
子どもの行動が自分をイライラさせていたのではなく、自分の願いが叶わないのではないかという不安が、自分を不機嫌にしていたのだとわかります。
この伝え方であれば、子どもも頭ごなしに怒られる理不尽さを感じないでしょうし、人によっては、親の想いに答えようと行動を変えるかもしれません。
感情とニーズをつなげて伝えることで、コミュニケーションは円滑化するのです。
自分と相手のニーズを尊重する
感情にふりまわされ、自分が望んでいることが叶わずモヤモヤする状態から脱するまでには3つの段階を経ることになるそうです。
スタート時点は、第1段階の「感情の奴隷」状態にあります。
自分よりも他人の感情を優先し、自分を押し殺している状態です。放っておけば自責のループを繰り返してしまいます。
自分を押し殺すことの代償の大きさに気付くと、第2段階の「反抗期」に入ります。
「それはあなたの問題であって、私が責任を負う必要はない」と線引きができるようになったり、自らのニーズに耳を傾けられるようになったりする一方で、他人の感情やニーズを汲み取る余裕がありません。
「反抗期」のネーミング通り、周囲から孤立した印象を与えたり、意固地になっているように見えたりする可能性もあります。
それを経て、自分だけでなく相手のニーズにも寄り添うことでコミュニケーションが円滑になることを悟ると、いよいよ第3段階の「感情からの解放」状態に突入です。
以上、NVCの重要な3つ目の項目「ニーズ」についての書籍要約でした!
最後の「要求」についても、近日中に要約記事をUPします。
書籍もぜひ!
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